NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「コカイン・ベア」(60点/生物パニック:結構オススメ)

■■■「コカイン・ベア」■■■
(60点/生物パニック:結構オススメ)


 1985年のアメリカ・ジョージア州
 FBIに追われたドラッグの売人がセスナ機から投げ捨てたコカインの満載されたバッグは、チャタフーチー国有林の森の中へと落下。
 ドラッグの売人のボスであるシドは、息子のエディと部下のダヴィードをバッグの回収へと向かわせる。


 一方その頃、シングルマサーのサリは、娘が森の中の危険な場所にある滝へと無断で友達と向かった事を知り、森林警備隊の隊員と共に捜索に向かうが、そこでコカインを食べてハイになり、ハイカーたちを襲いながら暴れまわっている巨大なクマに遭遇し…

 


 ドラッグの売人が森の中に捨てたコカインを巨大なクマが食べてしまい、ハイになって大暴れを繰り広げて人間を襲いまくるという生物パニック映画。


 クマが主役の生物パニック映画って割とありそうで意外と少なかったりするのですが、レアな設定に更に加えて『ドラッグを食べてハイになって大暴れする』という、ちょっと捻りの利いた感じの内容になっている作品ですね。


 ちなみにこの設定は、一応は『実際にあった事件』をベースとして作られているという話なのですが、実際の事件ではドラッグを食べたクマは『ラリって眠りこけていた』らしく、ハイになって大暴れしたり人間を襲ったりはしていないという話だそうです。(まあ実際にそんな事件があったら、もっと大ニュースになってるでしょうけど…)


 また『捻りの利いたちょっとおかしな感じの設定』から予想できるとおり、映画の中身の方もブラックユーモアの効いた感じのややコメディ色の強いホラー映画になっている印象。


 いわゆる一般的な生物パニック映画の『獲物を狩る』というスタンスではなく、やたらとハイになって逃げも隠れもせずに大暴れしまくるというクマちゃんの暴走っぷりが楽しい作品です。


 犠牲者たちの殺され方も、ドラッグのせいで矢鱈とハイになったクマが人間で遊んでいるついでに殺されてしまったり、うっかりドラッグの粉を浴びてしまったせいで生きたままクマに食われちゃったりするという感じなのですが、ゴア描写は割と強めなもののバカバカしくてどこか笑えてしまうため、そこまでグロさを感じないのも良い塩梅という印象。


 またバカっぽい設定に合わせるように登場人物が全体的にちょっとマヌケで、ハイになったクマとの絡みも含めてどこかユーモラスで終始明るく楽しめる内容になっているのも良い感じ。


 ただクマの暴走っぷりは楽しいのですが、B級映画にありがちな『殆どの見せ場が予告編映像で観れてしまう』という構成のため、映画本編を観た後にやや物足りなさを感じるような内容になってしまっているんですよね。


 クマの出番以外のシーンの『人間同士の絡み(マフィアと警察の小競り合い等)』みたいなのがいま一つ面白味に欠け、ちょっと冗長な印象を受けてしまうのも残念なところかなぁ…


 ラストも『そんなオチでいいんか?』みたいな感じで、ちょっと盛り上がりに欠けますし、終盤はもう少し見せ場があっても良かった気がしますよ。

 


 総評としましては、個性的な設定を上手に活かした『なかなか良くできた生物パニック映画』って感じですね。


 コメディ的な作りとかB級臭さは強めですが、そういう部分も含めて良く出来たB級パニック映画だと思いますので、そういったノリが好きであればチェックしておいても損はない一本でしょう。


 逆にマジメなノリの『緊張感あふれる生物パニック映画』みたいなのを期待してると、ちょっと肩透かしを食らわされる部分もあるかもしれませんので、そういう人は要注意かもしれませんよ。