NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「DASHCAM ダッシュカム」(60点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「DASHCAM ダッシュカム」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)


 ロサンジェルスに住む、即興ラップを演じながら動画配信を行うミュージシャンで迷惑系配信者のアニーは、コロナ禍のロックダウンにウンザリしてイギリスに住む元バンド仲間のストレッチの元をアポなし訪問する。


 フードデリバリーの配達員として真面目に生計を立てる彼を茶化して仕事の邪魔をしまくったところ、彼の家を追い出される事となったアニーは、腹いせに彼の車を盗んで勝手に乗り回していたところ、デリバリーのオーダーを受けたため興味本位で現場に向かうが、そこで『一人の老女をとある場所まで運んでほしい』という奇妙な注文を受ける。


 あまりの怪しい内容に依頼を断ろうとするも、報酬の大金に目がくらんだ彼女は、依頼を引き受け老婆を車の後部座席に乗せることとなるが、それによって予想だにしない恐るべき事態へと巻き込まれていくのだった…

 


 ラッパーで迷惑系動画配信者の女性がデリバリーとして『奇妙な老婆』を送り届ける事になるが、その老婆にはとんでもない秘密があった…という、オカルト風味のサスペンスホラー映画。


 ブラムハウス製作によるPOV(主観映像)形式のサスペンスホラー映画なのですが、なかなかどうして色んな意味でブッ飛んだ内容の作品です。


 特にブッ飛んでいるのが主人公の性格で、迷惑系の動画配信者ってだけでも十分に腹が立つような存在なのですが、傍若無人なうえにひたすら下品で『ビ●チ』という表現がこれ以上ないぐらいにシックリくる性格で、身勝手で他人に迷惑をかけまくりで、かつての仲間にも愛想をつかされて追い出されて、腹いせに車を盗んで動画配信を始める…という、迷惑野郎の『数え役満』どころか『三倍役満ぐらいの超迷惑っぷりであり得ないぐらいに腹の立つキャラクター具合。

 (ちなみに主人公のアニー・ハーディは実際のミュージシャンの方が実名で演じているようですが、現実にもこんなキャラでこんな活動をしてるのだとしたら、どういう層が支持してるのか永遠の謎です…)


 あまりにも腹が立つうえに不快なキャラなので、下手をすると『お話が動き出す中盤までに、あまりに腹が立って観るのを止めてしまいたくなるようなレベル』なのですが、そこを乗り越えてお話が動き出した後の展開がメチャクチャ面白いんですよね。


 あまり内容に触れるとネタバレになるので詳しくは書きませんが、中盤以降は物凄い疾走感とリアリティ『ヤバいシーン』のつるべ打ちとでもいう感じで、とにかくテンポが良いうえに臨場感と迫力があって観ていて退屈しない構成。


 スマホのカメラで撮影されたPOV作品という設定な事もあって『何が起こっているのか良くわからない』ようなシーンも多いのですが、それでも『何だか良くわからないけど、滅茶苦茶ヤバい事が起こっている』というのがキチンと分かるような作りになっているのは非常に上手いです。


 また、あまりにも極限的な状態やら異様な状況の連発で、先の展開が全く読めないのも面白いですし、予想以上にシッカリとした見せ場やらグロシーンなんかもあったりするのも良い感じ。


 とにかくPOVの『臨場感』と『迫力』に全振りして作られたような作品ですので、低予算のPOV形式の映画のマンネリ具合に飽きていたような人にこそ観てみてほしい作品という印象。


 ただ面白い作品ではあるのですが、前述したとおりにとにかく『人を選ぶ作品』で、まず『下品な主人公が苦手』という人は、主人公の不快さに耐えれない可能性があるので要注意。


 それに加えて前述もしたように『POV』故に全体的に映像が乱れまくりで、場面によっては『何が起こっているのか分からないようなシーン』やら『なにをやってるのかすら判別てきないようなシーン』がお話の後半の1/3ぐらいを占めるので、そういうのが苦手な人もちょっと辛いかも?(逆にリアリティがあるとも言えるのですが…ちなみに画面が揺れすぎて何が映ってるのかすら分からないような場面が多いので、逆に画面酔いはしませんでした。)


 あと、ラストの展開とかも結構な投げっぱなしっぷりですので、キチンとしたオチの無い映画が嫌いな人にも微妙な感じかも…

 


 総評としましては、低予算っぽい内容ながらも『とにかくパワフルで強烈なPOV形式のサスペンスホラー映画』って感じですね。


 不満点も多いですが、『疾走感』とか『臨場感』とか『ヤバい内容』やらのイキオイだけは凄いので、色んな意味で『パワフルなホラー映画』を求めている人にはオススメできる作品という印象。


 感想にも書いたとおり『何かと人を選ぶ要素』が強めですので、その辺をある程度は許容できる人であれば観ておいて損はない一本ではないかと思いますよ。