■■■「シーワールドZ」■■■
(40点/モンスター)
シャイニング・シー水族館で生物の治療を担当する獣医師のカレンは、飼育しているタコが瀕死状態となっていたため治療するための薬物を注入するが、タコはその直後に一度生命活動を停止した後に突如として狂暴化し、職員の2人を殺害してダクトの内部へと逃亡する。
その頃、館長のミランダは、エデン動物園で治療薬をして使われていた薬物が動物をゾンビ化させて狂暴化させるものだと報告を受けるが、その薬物が逃亡したタコに投与されていたものだと判明。
彼女はゾンビ化したタコを捕らえようと行動を開始するが、時すでに遅く逃亡したタコによって水棲生物たちへと感染は拡大。
狂暴化した生物によって水槽が破壊されたことにより、水族館はシステムにロックダウンがかかってしまい、職員たちはゾンビ水棲生物の徘徊する館内へと閉じ込められてしまうのだった…
動物をゾンビ化させるウイルスの影響で巨大水族館にゾンビ化した水棲生物が出現し、職員たちが水棲生物から逃れようと奮闘する…という、動物ゾンビものパニックホラー映画。
B級ホラーでお馴染みのASYLUMによる新作で、数年前に作られた『動物園の動物がゾンビ化する』という「ZOOMBIE ズーンビ」と「ZOOMBIE ズーンビ ネクスト・レベル」の続編のシリーズ第三弾に当たる作品。
お話的にも1作目で『ゾンビ動物園』と化した『エデン動物園』がお話に関係していたりと、普通に1作目の後日談として繋がったお話となっています。(ちなみに「ネクストレベル」は、タイトルに反して1作目の前日談にあたるようなエピソード。)
ただ、「ズーンビ」と「ズーンビ ネクスト・レベル」は割と良く出来たゾンビものパニック映画だったのですが、本作は何故か非常に残念な出来の作品になってしまっている…というのが正直な感想。
お話としては『謎の薬品の影響で園内の生物たちがゾンビ化して、職員たちがなんとかして感染の拡大を食い止めつつ施設からの脱出を試みる』という、まあ1作目や2作目と大差ない(というか生物パニック映画のお約束)ような展開。
相変わらず『ゾンビ化した動物から人間へとウイルスは感染しない』という設定は引き継ぎで、今回は水棲生物がゾンビ化して襲い掛かって来るという感じなのですが、まあとにかく本作に関しては設定うんぬんよりも非常にテンポが悪いのが気になるところ。
パッケージとかを見ると、魚やらタコやらアザラシやらの様々な水棲生物が次々と襲い掛かってきそうな雰囲気なのですが、実際にはゾンビ化する水棲生物が少なすぎるのが困りもの。
ゾンビ化して人間を襲うのはほんの数匹、更に巨大水族館が舞台の割には襲われる職員も数名といったレベルでとにかく地味。
加えて、登場するのもタコ、ワニ、カニといったのがメインで、そこまで『海の生物』っぽさが感じられないんですよね。(ワニとかゾンビ化してなくても、脱走された時点でそこまで状況が変わらないですし、カニとか陸上を歩いて襲ってきたら巨大グモにしか見えないし…)
寄生生物っぽいヒトデゾンビとか巨大なセイウチゾンビは割とインパクトがあったものの出番が殆ど無いので、ビジュアル的にどうにも見せ場が乏しい印象。
そもそもマトモにゾンビ水棲生物が登場するまでの尺も非常に長く、『職員たちがダラダラと喋りながら館内をうろついているだけ』のみたいなシーンが多くて観ていてダレまくりです。
最初に感染した『巨大ダコ』がモンスター側のメイン的な扱いなのですが、触手のCGを描くのが難しいせいか人間との絡みが少な目ですし、水族館が舞台の割には主人公たちが水の中に入るようなシーンも殆ど無いですし、魚とかがゾンビ化して襲って来るようなシーンも無くて、なんというか企画倒れ感と物足りなさがハンパありません。
もともと、もっと『ゾンビ化した水棲生物が大暴れ』するような企画として作られてんだけど、『予算が足りなくなって残念な出来になってしまったのかなぁ…』とか色々と勘ぐってしまいたくなるような出来の作品でしたよ…
総評としましては、どうにも物足りなさを感じる『微妙な出来の低予算モンスターパニック映画』って感じの作品ですね。
一応は「ズーンビ」シリーズの最新作ではありますが、旧作を好きだった人にもいま一つオススメできないレベルに仕上がっており、少なくともパッケージやタイトルから期待できる内容からは結構乖離している印象。
まあでも退屈で微妙な出来ではありますが壊滅的にツマんない訳でもないので、海産物ソンビがどうしても気になっている人や、シリーズを追いかけていて「せっかくだから見てやるか」という奇特な人ならばチェックしておいても良いかもしれませんよ。