NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シン・ジョーズ 最強生物の誕生」(65点/モンスター:結構オススメ)

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■■■「シン・ジョーズ 最強生物の誕生」■■■
(65点/モンスター:結構オススメ)


 水深100mの深海に作られた海洋研究所である『海王深海ステーション』では、ガンの治療薬の開発のために、サメの遺伝子操作の研究が行われていた。


 研究は順調に進んでいたが遺伝子操作の組み替えによりサメは巨大化し、生物学者の叶はその危険性を指摘していたが、上層部により実験は強行。


 その結果としてサメは狂暴化して研究所を襲撃し、研究所の窓を破壊建物内に侵入して研究所員たちは半ば水没した施設に取り残されてしまう。


 サメハンターでサメの飼育員でもある宋の活躍によって、なんとか研究所から脱出に成功した彼らだったが、サメは遺伝子操作により恐ろしい程に巨大化したうえに地中や陸上での活動にも適応し、地上の人々を襲い始めるのだった…

 


 遺伝子操作によって突然変異したサメが研究所を破壊して逃げ出し、陸上での活動に適応して人間たちを襲う…というモンスターパニック映画。


 最近、やたらと大量に作られている中国製のモンスターパニック映画のうちの一本という感じの新作なのですが、このところの量産されている中国製のモンスター映画って割と微妙な作品が多い印象のなかで、本作は久々の当たりと呼べるレベルのなかなか良く出来たモンスターパニック映画です。


 お話としては、『海洋研究所が遺伝子操作で狂暴化したサメに襲われて脱出するまで』のパートと、『地上に出て地面の中を泳ぎ回って暴れ回るサメをなんとかして捕獲しようとする』というパートに分かれている感じなのですが、前半は思いっきり「ディープブルー」のオマージュっぽい雰囲気ですし、後半は思いっきりトレマーズを意識している印象。


 更に加えて『十数メートルぐらい超巨大化したサメが、ヒレで這いまわりながら街を破壊して暴れまわる』といったようなハチャメチャな展開もあったりして、色んなサメ映画やら怪獣映画から節操なく美味しいところどりをしたような内容という感じ。


 ただ節操のない内容の割には、それぞれのネタが割とシッカリとリスペクトされ盛り込まれていて普通に面白いB級モンスター映画になっているんですよね。


 とにかく矢鱈とテンポの速い作りが特徴で、モンスターの出現までもめちゃくちゃ早くて、序盤の『主人公たちが深海の研究所で変異ザメに襲われてから脱出する』までのシーンが30分ぐらいで完結してしまうという超高速展開。


 とにかくサクサクとお話が進んでいき、次々と新たなフィーチャーやら舞台へとお話が展開していくという作りのお陰で、観ていて全く退屈する暇がありません。


 加えてモンスターの出番も非常に多くて、CGはやや安っぽいものの出し惜しみなく大暴れしてくれるのが良い感じ。


 トレマーズ」のグラヴォイズのように地面の中を泳ぎ回ったり、胸ビレを足のようにして歩き回ったり、人間を口に咥えたままピチピチと跳ねって地上を走り回ったりと様々なアクションで楽しませてくれるうえに、完全武装した私設軍隊とバトルを繰り広げたりと見せ場も十分にあるのは良いところ。


 モンスターのデザインも、鎧のような鱗に覆われた『古代の甲冑魚』のような姿が無駄にカッコ良くて、B級モンスター映画好きならばこの巨大ザメを観ているだけでも満足できそうなレベル。


 主人公たちや悪役のキャラは紋切型すぎる印象はありますがキャラが良く立っていますし、モンスターとのバトルも意外と熱い展開で全体的になかなか良く出来ています。


 欲を言えば、ラストバトルは市街地辺りでもっとド派手にドンパチして欲しかった部分はありますが、流石にそこまでは予算が厳しかった感じかなぁ?


 ただ、タイトルに「シン・ジョーズ~~」と付いている割には、「シン」的な要素は全くないですし、シリーズものとして売るには以前に発売された「シン・ジョーズ」が微妙だったので、内容的にも「ランド・シャーク」とかのシリーズの冠を付けた方が良かった気がするのは自分だけですかね?
 (以前の「シン・ジョーズ」は、放射能の影響で突然変異してメルトダウン寸前のサメという設定だったけど、こっちは全く関係ないし…)

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのB級モンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 色んな映画の要素をごった煮にしたパク…リスペクト系の作品という雰囲気ではありますが、それぞれの要素が割と良くまとまっており普通に面白く仕上げているのは良い感じです。


 コテコテすぎる展開とか安っぽさとか気になる部分はあるものの、B級モンスター映画が好きな人であればとりあえずチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。