NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」(75点/モンスター:オススメ)

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■■■「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」■■■
(75点/モンスター:オススメ)

 山の中で卒業制作の為にチープなホラー映画を撮影していた映画学科の大学生のジェイソンらは、世界各地で『死者が次々と蘇る』という奇妙な現象が続発している事をニュースで知る。

 驚くべきニュースに彼らは撮影を中断して下山する事とするが、街へと帰ろうとする彼らの前に蘇った死者と思しき集団が出現。

 彼らは実際に起こった真実ドキュメンタリーとして残すため、全ての映像を記録してカメラによって記録する事を決意するが…


 ジョージ・A・ロメロによる、いわゆる「ゾンビ」シリーズである「~~ of the Dead」シリーズの最新作に当たるモンスターホラー映画。

 シリーズとしては5作目に当たる訳ですが、NIGHT~DAWN~DAY~LANDが時間軸に沿った4部作となっていたのに対して、コチラは時間軸的には『ゾンビが出現した後で、世界が崩壊する前』の時期の話なので、NIGHTの直後ぐらいの時間軸のお話のようです。

 でも、舞台背景としてインターネットの話題が出てきたりするので、完全にNIGHTの時代という訳でもなく、そこそこアレンジされている感じですが…

 まあ、このシリーズは製作された時代の時代背景や世相を反映したネタをモチーフとしつつ、その時代の社会を『死者の復活』という脅威を暗喩として描くという手法を取っているので、こういうアレンジは全然アリでは無いかと。

 今回の新作の特徴は、主人公達がビデオカメラを持っており主観視点によって体験した出来事を描いているという、いわゆる「ブレアウィッチ」的な手法が取られている事。

 ただ「ブレアウィッチ」等とは違って、主人公が映画学科の学生という事もあって、普通の撮影用機材を使って撮影しているという設定のため、ハンディカムの映像のような手ブレや見辛さは無いのは良いですね。

 逆に臨場感やライブ感は減ってしまっているのですが、コレなら画面酔いしやすい人でも平気でしょう。

 多少編集されてあるものの、主人公たちの体験した映像を淡々と流すという手法の為、非常にリアリティが感じられるのは面白いですし、主人公達の友人や家族がゾンビと化していくという怖さが擬似的に体感できるため、今までのシリーズとは違った怖さがあります。

 ただ学生の自主製作フィルムという設定のせいか、序盤が敢えてグテグテな感じに作られており割と序盤がダルかったり、主人公たちの主観のみでお話が語られるため、全体的にスケールが小さくて地味な内容であるので、映画としての物足りなさを感じる人も居るかも?

 でも、単純にホラーエンターテイメントというだけでなく、動画共有サイトやブログが発達する事で『誰もが情報発信者になれる時代』を背景として描いて、その時代に世界的パニックが発生した場合にどんな事が起こるか…
 また、自分が『情報発信者』になれるという事によって、人々がどんな歪んだエゴを抱くかというのが、皮肉として描かれていたりする辺り、『やっぱ、ロメロは凄い監督だなぁ…』と素直に感心しましたよ。


 総評としましては、低予算っぽい作りの内容にも関わらず、非常に怖さも臨場感も感じられる内容で、シリーズとしては傍流ながらも非常に面白い作品だと思います。

 内容に派手さは無いですが、純粋にホラーが好きな人ならLAND OF THE DEAD」よりもコチラの方が好きだって人も結構多いのではないでしょうか?

 とまれ、シリーズが好きな人ならば、間違いなく観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。