■■■「キル/オフ」■■■
(40点/サスペンス)
ロサンゼルス近郊の砂漠の町に営業に訪れたセールスマンのサムは、明らかに人の気配はあるのに誰一人として姿を見せない異様な町の様子に不気味なものを感じつつ営業を続けていた。
町の地方ラジオからは繰り返して少女誘拐殺人事件の情報が流れてくるのみで、誰ともコミュニケーションが取れない事から諦めて町を立ち去ろうとしていたところ、何者かが仕掛けたロードブロックのせいで車をパンクさせられてしまう。
砂漠の真ん中で途方に暮れていたところ、警官に出会った彼は助けを求めようとするが、警官は彼に突然に発砲。
とっさに近所の家に逃げ込んだ彼は、警官ともみ合ううちに警官を殺害してしまうが、警官の持っていたメモとラジオの放送から『自分が少女を殺害した殺人鬼と勘違いされているのではないか』という事に気づくが…
砂漠の田舎町に訪れたセールスマンの男が意味も分からないままに住人達から命を狙われる事になるという、不条理系のサスペンススリラー映画。
主人公が訳が分からないまま命を狙われる事となるという、いわゆる閉鎖環境型のシチュエーションスリラー系の映画ですが、ノリ的にはちょっと不条理系のカルトホラーっぽい雰囲気のある作品ですね。
お話としては、『人の気配のみのする「無人の町」で、主人公が命を訳も分からず狙われる事となる…』みたいな感じの展開なのですが、寂れた町の異様なテイストやら延々と繰り返されるラジオの放送の不気味な雰囲気やらが、なかなかに良い味を出しています。
序盤~中盤にかけての誰も居ない町の不気味さやら、中盤以降の唐突に命を狙われるようになる異常な展開やら、どちらもなかなか『理解の出来ないタイプの異様な怖さ』が出ていて良い感じです。
ただ、カルトホラー的な雰囲気映画としては良い感じではあるのですが、純粋にサスペンスとして面白いかと言われると微妙なところ。
ちょっとネタバレになってしまうのですが、町のあまりにも異様な雰囲気やら演出やらのお陰で、割と序盤から『普通の世界ではない』という事が予想できてしまうため、謎解き的な要素とかはあまり感じられない…というかマジメに考えても意味が無さそうな事が予想できてしまうんですよね。
また、お話が動き出すまでの序盤の30分程度も、雰囲気は良いとはいいつつも『主人公が無人の町をさ迷っているだけ』で殆ど何も起こらないので割と退屈ですし、もうちょっとテンポが良くても良かったんじゃないかという気はします。
中盤以降の鬼気迫る感じのテイストは割と面白いと思うのですが、そっちに関してもテイストが良いという意外はストーリーらしいストーリーも無いですし、お話のオチに関しても分かったような分からないような視聴者に判断をゆだねるような感じのオチですし…
そういうスッキリしないタイプのオチが嫌いな人には、ちょっとオススメできない作品という感じかなぁ?
以下、個人的な解釈とネタバレ。
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個人的には、主人公は結局は死んでて『死後の世界』っぽい異世界だったという感じのオチなのかなぁ?とは思いました。
ただ、それにしても『少女の死体』とか『ラジオのDJ』とかの存在の意味が良く分からない部分が多いのは引っかかる部分ではあります。
もしかしたら実際に主人公は元殺人鬼で、その呪いで報いを受けてるという事なのか、もしくは娘を残して死んだ未練がああいう世界を作り出している事なのかしらん?
その辺はもうちょっと、何らかの説明があっても良かった気はしますよ…
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総評としましては、カルト的な雰囲気と不気味なテイストの『なかなか良い味わいをもった不条理系サスペンス映画』という感じの作品です。
ただ『雰囲気映画』としては良いのですが、他の部分が弱くて内容が無さ過ぎるお話ですので、『雰囲気重視のカルトホラーを楽しみたい』という以外のニーズには殆ど答えられないであろう映画という感じ。
良く分からない不気味なテイストを楽しみたいというニーズがあれば、まあまあ楽しめる内容ではあると思いますので、そういう独特のテイストの映画を求めているのであればどうぞ。