NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ファイナル・インパクト」(75点/パニック:オススメ)

■■■「ファイナル・インパクト」■■■
(75点/パニック:オススメ)


 ウラジオストクに住む15歳の少女レーラは、母の再婚相手の家族といまだに馴染めず、疎外感を感じながら暮らしていた。
 また宇宙ステーション「ミラ」で働く元父のアラボフとは、過去の確執もあり、特に親子関係をこじらせていた。


 そんなある日、地球の近辺を彗星が通過する事となり、世紀的な流星群の観測に地上は湧きたつが、宇宙ステーション「ミラ」の観測の予測を超える規模の流星群が地球を直撃。


 アジア全域を含め、ウラジオストクにも壊滅的な被害が発生してしまう。


 流星群との接触で半壊した「ミラ」で唯一の生き残りとなったアラボフは、地上の機器をハッキングして娘のレーラと連絡を取り、なんとかして災害現場から娘を救おうと奮闘するが…

 


 ロシアの街を流星群が直撃し壊滅的な被害を出すなか、地上の危険地帯に取り残された娘を助けるために宇宙ステーション勤務の父が奮闘する…という、ロシア製の隕石ものディザスターパニック映画。


 てっきり、アルマゲドン〇〇(邦題)」的な『なんちゃってディザスターパニック映画』を予想していたのですが、『えっ、これ日本で劇場公開されなかったの?』と逆に驚かされてしまうレベルで、物凄くシッカリと作られたパニック映画でした。


 お話としては、『地球近傍を通過すると予測された彗星にともなう流星群が、科学者の予測から外れて地球と宇宙ステーションを直撃。壊滅的な被害を受けた地上に取り残された娘を救うために、宇宙ステーションの父親が命がけの避難誘導を行う』という感じのお話です。


 『主人公が避難誘導を行うだけ?』というプロットだけ聞くと、なんとなく地味な感じの内容に聞こえますが、これが予想以上に良く出来た作品なんですよね。


 序盤の冒頭30分ぐらいから発生する『隕石群が地上を襲うシーン』も、無駄に派手な爆発とか破壊描写にこだわらないパニックの描写が妙にリアルで緊張感がありますし、その後の災害現場の二次災害によって次々と苦境に陥っていくという展開も、なかなか良く出来ています。


 『避難誘導』に関しても、主人公の父が『ロシア軍の秘密の軍事システムを無断使用して、地上の監視カメラやらをハッキングしながら誘導を行っていく』という流れなのですが、『直接娘を助ける事の出来ないもどかしさ』『いま使える物を活用してピンチを乗り越えていく』というバランス感が非常に良くて、予想以上に楽しませてくれます。


 主人公や主人公の父、ボーイフレントや弟といった主要登場人物も、全員がめっちゃ良い性格をしてますし、全員が『頑張って生き延びてくれ!』と素直に応援したくなるようなキャラなのも良い感じ。


 『過去の償いのために主人公を救おうとする父』と、トラウマを克服して『自らを危険に晒しても街の人たちを救おうとする主人公』を主軸に据えた終盤の展開も予想外に熱いですし、先の展開の読めない構成もなかなか秀逸。


 惜しむらくは、お話の構成の都合上、序盤の『隕石群の落下シーン』が最大の見せ場となってしまっており、終盤がやや迫力不足に感じてしまうのは残念なところかなぁ?(予想外の展開という意味では面白いんですが…)


 ただ、ラストは良い話風になってはいるものの、主人公は『別のトラウマを抱えることになるんじゃ?』とか心配になってしまったのは自分だけですかね?

 


 総評としましては、超大作とは行かないまでも『非常に良く出来た佳作ディザスターパニック映画』という感じですね。


 なんで話題にならなかったのかが不思議なレベルの良作で、まさに『掘り出し物』といった印象の作品でした。


 ディザスターパニック映画とか、そういったジャンルの作品が好きな人であれば、間違いなく楽しめる内容だと思いますので、気になる人はチェックしておいて損のない一本だと思いますよ。