NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ライフ」(55点/モンスター)

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■■■「ライフ」■■■
(55点/モンスター)

 近未来、火星探査機のピルグリムは火星の地表で休眠中の未知の単細胞生物を発見。

 史上初の地球外生命体として発見されたその生物は『カルビン』と名付けられ、ISS国際宇宙ステーション)の隔離されたエリアで研究が行われる事となる。

 世界各国から集められた6人の宇宙飛行士たちがこの研究を開始し、休眠から目覚めたその生物は順調に繁殖を開始するが、実はこの生物は『群体』で一つの生命体となる特徴を持っており、繁殖して成長する度に徐々に高い知性を発揮するようになっていく。

 更に成長した生物は研究員の隙をついて襲い掛かり、殺害して隔離区画から逃亡。

 生物が人類の脅威となりかねないと判断した宇宙飛行士たちは、その生物をなんとかして駆除しようとするが…



 火星の地表から発見された未知の微生物をISSで研究したところ、実は群体となって巨大化する危険な捕食者だったという、SFモンスターホラー映画。

 『閉鎖された研究施設のなかで未知の生物に遭遇する』というシチュエーションから、なんとなく宇宙版「リバイアサン」を彷彿とさせるような設定のお話ですね。

 閉鎖環境が舞台のモンスターホラーという割とありがちな設定の作品という感じではありますが、なんというか実際の中身の方もありがちなタイプの『可も不可も無いモンスター映画』って感じの作品でしたよ。

 お話としては『火星で発見された微生物が実は巨大化する危険なモンスターでした』という感じの、ホントにそれだけのお話といった内容です。

 研究者たちが『未知の単細胞生物』を培養して研究していくうちに、実はその生物が『群体』として集団で1つの知性を持つ生き物に変化するという性質を持っており、『生物が徐々に怪物として進化していく』みたいな感じの設定なのですが…

 序盤はSFっぽい謎解きからお話がスタートして、無害な微生物だと思われていたものが『徐々に怪物として本性を現わしていく』という展開は、まあまあ緊張感もあって面白いです。

 あと、某「プロメテウス」のように『お前ら未知の生物に対して警戒心が無さ過ぎだろ!!』みたいな酷いツッコミどころもなく、『ここまで警戒してたのに怪物が出現してしまったのなら仕方がないよね』とまあまあ納得の行く展開なのは良いところ。

 ただ設定はシッカリ出来ているのですが、本作がモンスター映画として面白いかと言われると、これが微妙なところなんですよ…

 とりあえず本作の何がイマイチかって言うと、『肝心のモンスターにあまり魅力が感じられない』という事。

 モンスターはアメーバのような群体から、最終的に『翼の生えたタコ』みたいな軟体生物に進化していくのですが…

 『宇宙ステーションを神出鬼没に移動して襲い掛かる』という設定を活かすためなのか、最終形態になってもサイズがあんまり大きくなくて大型犬みたいなサイズしかないので、いま一つ怖さや威圧感が無くて襲撃シーンにどうにも迫力が無いのは困りものです。

 怪物の襲撃方法も殆ど『触手で締め付ける』だけで面白味があまり無いですし、『翼のような器官を使って宇宙ステーションの内部を飛び回るタコ』という怪物のデザインそのものは悪くなかったので、迫力不足なのはどうにも勿体ないです。

 また舞台となる宇宙ステーションに関しても、近未来程度のリアルな宇宙ステーションをモデルとしているせいもあってか、なんというか全体的に殺風景で地味でロケーションにいま一つ面白みが無いんですよね。

 加えて『宇宙ステーション』という閉鎖環境の設定も、いま一つ活かしきれていない感じで、あんまり閉塞感が感じられないのも残念なところ。

 怪物の設定に関しても『細胞の個々が個別の生物として機能する』とか『休眠状態に入っても環境の変化で復活する』という面白い設定を作っておきながら、それを活かすような展開とかも特に無いですし、怪物に特に弱点を設定しなかったせいで終盤の展開もちょっとグテグテ気味ですし…

 なんか全体的に『もうちょっと面白い見せ方が出来たんじゃないか?』と感じるような部分が多くて、どうにも勿体なさを感じる作品でしたよ。


 総評としましては、冒頭にも書いたとおり『可も不可も無いレベルの普通のモンスターホラー映画』って感じの作品ですね。

 そこそこ予算がかかっているので、怪物やら宇宙ステーションやらのCGとかは良く出来ていますし、お話そのものも『物足りない』だけで決してツマんない訳では無いので、モンスターホラーが好きならばまあまあ普通には楽しめる一本だとは思いますよ。

 なんというか、予算と広告は良く出来ている割に内容を観ると『うーん、こんなもんか?』と感じてしまうという、いつものソニーピクチャーズらしいホラー映画という感じでした。