■■■「エンド・フロム・ディープ 終末の海域」■■■
(35点/サスペンス)
近未来、東西諸国で第三次世界大戦の開戦への緊張が高まるなか、米潜水艦・USSタイタンはロシアの潜水艦との深海での交戦の直後に、魚雷発射管の1つに裸の女性が潜伏している事に気づく。
艦長のマイケルらは、発見からひと言も喋らない女性を、ロシアのスパイではないかと疑いを抱き考えて拘束するが、深海での侵入経路も不明の女性の出現という異常な事態に混乱。
更には、彼女が艦内に侵入したタイミングと前後するように、潜水艦や船員たちに異常が発生し始め…
交戦中の米国の潜水艦の魚雷発射内部に正体不明の女性が出現し、予想外のパニックを惹き起こしていく…という、モンスターホラー風味のサスペンススリラー映画。
一応は『人魚』を題材としたモンスター映画なのですが、半分は戦争映画みたいなテイストで『むしろそっちが本編では?』という感じの作品です。
お話としては『米国の潜水艦の魚雷発射管に深海から侵入してきた謎の女性の正体と、その目的は?』みたいなストーリーが描かれるのですが…
謎の『人魚』の正体と『その目的』がメインなのかと思いきや、どちらかというと『人魚』の侵入とは別に並行して進んでいる『英国諜報員のミッション』の方がお話の中心となっており、観ていてちょっと混乱します。
特に中盤あたりまでは『人魚』は登場してるだけでぼほ何もしないので、存在感が全く感じられず、他に大きな事件も起こらないままにダラダラとお話が進んでいくので非常に退屈。
またお話の終盤ぐらいになって、ようやく『人魚』の正体や目的が明らかになっていくのですが、その頃には『英国諜報員のミッション』の方が物凄い緊迫した事態になっており、『もう、人魚とかどうでもいいやろ?』みたいな空気になってお話が進んでいくため、『人魚』の存在感が全体的に薄すぎなのが困りもの。
実際のところ『人魚』は『男女差別への問題提起』とかを題材にしているっぽいのですが、そんな事はどうでも良くなるレベルの雑な扱い(そもそも第三次世界大戦が勃発しそうな状況で男女問題とか提起されても…)ですし、単にストーリーがゴチャゴチャして分かりにくくなっているだけなので、最初から素直に『戦争もののサスペンス映画にしておいた方が良かったんじゃ?』という感想しか出てきません。
他にも、終盤で明かされる『衝撃の真実』が唐突過ぎますし、『戦時中なのに潜水艦の搭乗員が少なすぎやろ』とか、英国諜報員が何故か『人魚』の生体に以上に詳しかったりとか、色々とツッコミどころが満載。
ラストの展開も矢鱈と唐突で『なんだそりゃ?』というようなオチですし、色々とどうしたら良いのか判然としないような内容の作品でしたよ…
総評としましては、全体的に『なんのこっちゃ』と言いたくなるような『微妙な内容のモンスターホラー風味の戦争サスペンス映画』って感じですね。
お話がダラダラしているうえに『人魚』を題材としている割には扱いが雑で、描きたい方向性もストーリーも釈然としない部分が多く、観ていてどうにもモヤっとする作品という印象でした。
あまりオススメするような要素も無いので、よほど気になっているとかでも無ければ、普通にスルーしておいても問題のない一本ではないかと思いますよ。