レスキューダイバーのジョナス・テイラーは、ある日、救助活動中に正体不明の何者かの襲撃を受けて仲間を失った事が原因で、今は引退してタイで自堕落に余生を過ごしていた。
そんなある日、マリアナ海溝よりも更に深い領域である、深海11,000メートルにある温水層を発見した海洋探査チームは、調査のために潜水艇で深海域へと訪れるが、そこで何者かの襲撃を受けて潜水艇が故障し深海で立ち往生してしまう。
調査チームは、深海での救助活動のベテランであるジョナスへと救助を依頼するが、その『何者か』がかつて自分たちを襲ったものと同じであると判断した彼は救助任務に協力する事となるが…
『最強のハゲマッチョ』であるジェイソン・ステイサムと『20mを超える最強の巨大ザメ』であるメガロドンの対決とか『面白くならない訳が無いだろ!!』って感じの設定の作品ですが、期待通りになかなか良く出来た生物パニックホラー映画でしたよ。
お話としては、『未踏破の超深海の温水域を発見した調査チームが潜水艇で調査に向かったところ、200万年前に絶滅したとされるメガロドンと遭遇。潜水艇を追って浮上してきたメガロドンによって人々が大パニックに陥る』という感じの、なんともB級テイストあふれるコテコテのストーリー。
本作はまさに、そんな『B級テイスト全開のお話』を『莫大な予算をつぎ込んで大真面目に作りました』って感じの作品といった感じです。
ストーリーに関しても全体的にB級感あふれるノリで、科学考証とか考えると色々とツッコミどころ満載の展開なのですが、ツッコミどころを映像の迫力とイキオイでねじ伏せてるようなパワフルさが感じられるのが、本作の良いところでしょう。
(低予算映画だとショボい映像がそのままツッコミどころになってしまうのでこうは行きません…)
(低予算映画だとショボい映像がそのままツッコミどころになってしまうのでこうは行きません…)
お話も序盤のメガロドンが登場するまでの前振りの部分を除くと、殆どのシーンが『サメが暴れるパニックシーン』か『ステイサムvsメガロドンの対決シーン』という印象で、とにかくテンポ良く迫力のあるシーンを連続で見せて楽しませてくれます。
また、『そんな無茶な』って感じのアクションシーンでも『ジェイソン・ステイサムならこのぐらいやってくれそう?』みたいな謎の信頼感があって、バカ映画にならずに普通に楽しめるノリになってしまっているのがステイサムマジックといったところ。
この辺りは「ランペイジ 巨獣大乱闘」のロック様の人間離れした無茶苦茶な活躍にも通じるところがあり、『規格外の怪物に規格外のスペックの主人公をぶつける』というこのノリは非常に素晴らしいと思うので、今後の他のモンスター映画でも是非とも採用していただきたいです。
また主人公とヒロインが非常に好感が持てる感じで描かれているのに加えて、周辺のキャラクターも良い味を出しているメンバーが多く、観ていてしょうもないところでストレスが溜まらない作りになっているのも良い感じですね。
(モンスター映画って、過剰に性格の悪いキャラとかアホな行動をするキャラが出てきて無駄にストレスが溜まる事も多いので…)
(モンスター映画って、過剰に性格の悪いキャラとかアホな行動をするキャラが出てきて無駄にストレスが溜まる事も多いので…)
ただ不満点を挙げるなら、『メガロドンの襲撃』という世界的な規模の大ニュースが、作中では研究所のクルーたちのみの活躍で片付けられてしまった感じで、ちょっと小ぢんまりとした印象のお話になってしまっているところかなぁ…
山場である海水浴場の襲撃シーンとかもちょっと物足りない部分(というか食い足りない部分)があったので、もっと人間を食いまくって派手にパニックシーンを描いて欲しかったです。
ちなみに本作の原作の小説では、メガロドンが出現する事で海洋生態系に深刻なダメージが発生したり、原子力潜水艦と戦って撃沈したりする派手なシーンがあるので、原作に比べてスケール感が小さくなってしまっているのは残念なところでした。
(まあ原子力潜水艦のくだりは、一応オープニングで回収されてはいましたけど…)
(まあ原子力潜水艦のくだりは、一応オープニングで回収されてはいましたけど…)
ちなみに原作の小説は映画版以上に中二病テイストが強い内容で、原作者のであるスティーヴ・オルテン氏は、本作の他にも『古代の蛇神(ケツアルコアトル)が復活して人類滅亡の危機』みたいなお話を書いてたりするような人なので、映画を観て原作が気になるようであれば読んでみるのをオススメしますよ。
総評としましては、物凄い予算と労力をつぎ込んで『ガチの全力で作られた物凄いB級モンスター映画』って感じの作品ですね。
色々とツッコミどころも多い作品ですが、B級モンスター映画が好きな人であればツッコミどころも含めて楽しめる内容だと思いますので、気になるならば間違いなく観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。
特に「ジュラシックワールド 炎の王国」辺りで色々と不満を感じた人は、割とガチに本作で不満が解消されると思うので、そういうノリが好きならばチェックしておいて損は無い映画ですよ。