NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「屋敷女」(55点/サスペンス)

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■■■「屋敷女」■■■
(55点/サスペンス)

 パリに住む報道カメラマンであり妊婦のサラは、4ヶ月前の交通事故で夫を失ったショックから立ち直れずに、他人との関わりを避ける生活を送っていた。

 しかし、出産を間近に控えたクリスマスの夜に『電話を貸してくれ』という一人の女性の訪問を受ける。

 女性の態度に不審な物を感じたサラは警察を呼んで女を追い返すが、女はいつのまにか再び屋敷の中に侵入しており、就寝中のサラを襲おうとするのだった…


 出産を直前に控えた妊婦が正体不明の女に付け狙われるという、フランス製のサスペンスホラー映画。

 タイトルが望月峯太郎氏の「座敷女」のパクりっぽくなってますが、内容的にはあんまり関係は無くて、本編に登場する「屋敷女」も実際にはストーカーって感じでも無いので特に繋がりはありません。

 殺人鬼が家の中に侵入してきて付け狙われるという設定そのものは、割と使い古されたネタではあるのですが、動機が一切不明の相手から執拗に付け狙われるってシチュエーションと、ヒロインが妊婦で逃げ場が無いという設定が、なかなか恐怖感を増していると思います。

 妊婦で身重なため上手く逃げられないという焦りと、お腹の子供の安全を考えないとならないというヒヤヒヤ感があって、2倍の緊張感が感じられるという事で、妊婦って設定は『ちょっとズルいな』と思いつつも、やっぱホラーでは王道的な設定の一つとも言えるでしょうね。

 ストーリー的には、家の中での追いかけっこがメインで、ちょっとシチュエーション的に面白味に欠ける部分はありますが、『助かったかな?』と一瞬思わせておいて『やっぱり大ピンチ』というパターンが多くて、観ていてかなりヒヤヒヤさせられる展開はなかなか面白いです。
 ただ、ちょっと同じパターンを多用しすぎな気はしましたが…

 『ああ、なるほど!』と納得できるオチがキチンと用意されている辺りも、理不尽な殺人鬼が登場するシチュエーションスリラーとしては、なかなか秀逸なストーリーテリングだと思います。
 (ややネタバレになりますが、ラストでの『ヒロインと屋敷女の立ち位置が『逆転する』という現象が起こるのは、なかなか面白い仕掛けでは無いかと。)

 ただ、殺人鬼ものとしては「屋敷女」が『執念深くて強い』というよりも、被害者となる他のキャラが迂闊すぎて『あっさり殺されすぎ』だと感じる部分が多かったのは、ちょっとマイナスポイントかな?

 また、エグい残虐シーンは多いものの『ちょっと淡々とし過ぎな印象』があるので、もう一歩踏み込んで、屋敷女」の執念とか妄執といった『怖さ』がシッカリと描けていれば傑作レベルの作品になったと思うので、その点は残念なところでしょう…

 あと残虐描写のせいでR-18指定がかかってますが、確かにラストはエグいですが『ソレを勘案してもR-15ぐらいで十分なんじゃないかな?』と思ったのは私だけでしょうか?
 (一番の残虐シーンにはボカシが入ってるし…)


 総評としましては、全体的に完成度の高い『普通に良く出来たサスペンスホラー映画』だと思います。

 大絶賛する程では無いものの『普通に怖い』ですし『普通に面白い内容』ですので、サスペンスホラーが好きな人ならば十分に満足できる作品なのではないかと。

 そんな訳で、その手の作品が好きな人ならば、とりあえず『観ておいて損は無い作品』だと思います。

 ただ「R-18指定」がかかっているだけあって、それなりに残虐な描写が多いですので、その手の描写が苦手な人は要注意です。