■■■「シャークトパス」■■■
(55点/モンスター)
南アメリカのサンタモニカの近海で、アメリカ海軍に遺伝子操作によって作られた『サメとタコを掛け合わせた怪物』である「S-11」の極秘実験が行われていた。
しかし実験の途中にトラブルから「S-11」のコントロール装置が故障し、制御不能となった怪物がサンタモニカの海岸へと解き放たれてしまう。
実験の責任者である生物学者のザンスは、娘のニコールと共に怪物を捕獲するための計画を立案。
この怪物を作った生みの親とも言える、元軍人のアンディに協力を依頼する。
しかし、怪物出現のウワサを聞きつけた地元のTV局によって怪物の姿が撮影されてしまった事から、焦った米軍は怪物を殺害して情報の拡散を食い止めようとするが…
『サメとタコを掛け合わせた怪物』がサンタモニカ沿岸のリゾート地で大暴れするという、モンスターパニック映画。
なんと言いますか、タイトルからしても分かるとおりの『直球』というか
『オメガ直球どストレート』な感じのモンスターパニック映画ですな。
この、遺伝子操作でサメとタコを掛け合わせた怪物ってのが『サメの上半身にタコの足(下半身?がくっ付いてる』というホントに見たまんまなデザインで、ここまで分かりやすいデザインのモンスターを良く作れるなぁ…と思いきや、微妙な低予算モンスター映画を取ることで勇名を轟かせているロジャー・コーマンが製作に関わった作品だと言うことで、ちょっと納得。
お話の中身に関しても非常にコーマンらしいと言えばコーマンらしい内容で、ストーリーらしいストーリーは殆ど無くて、とにかく『怪物が沿岸に現れるのを主人公たちがひたすら追跡する』というホントにそれだけの内容。
ただ、怪物は遺伝子操作によって知能が高く且つ凶暴になっており、『空腹でなくても人間を襲う』という設定のお陰で、5分に1回ぐらいの割合で怪物が出現してひたすら人間を殺しまくるというパターンでお話が進むので、とにかくテンポが良くて退屈しないのは良いですね。
『サメの上半身にタコの下半身』という怪物のデザインもなかなか良い味を出しており、タコの足が付いてるもんだから、海岸のそばの陸地まで上陸してきてタコの足でヒョコヒョコと歩き回りながら人間を襲う姿は、シュールすぎてもはや地球の生物とは思えません。(というか「宇宙戦争」のトライポッドみたい…)
ちなみに怪物は当然ながらCGモデルで、一部のシーンで触手のみ実物のモデルといった感じですが、モデリングや合成はそこそこながらも怪物の出現シーンの多さから考えると結構なお金がかかっている印象。
襲撃シーンもワンパターンにならないよう、水中シーンと地上シーンを交えて色んなパターンを織り込もうと努力しているのは見てとれますし、モブで出演するキャストの人数もそこそこ多くて『パニックシーン』をキチンと演出できているので、低予算作品である事を考えれば上出来のレベルだと言えるでしょう。
ただ、この手の低予算モンスター映画にありがちな話ですが、シーンによって怪物の大きさが妙にまちまちで、デフォルトでは人間より少し大きい(サメ部分だけで3mぐらい)のサイズなのに、シーンによってはクルーザーを噛み砕くほどデカくなったりと統一感が無かったりするのはまあご愛嬌って感じですかね?
あと、怪物が単に『サメとタコを組み合わせた生き物』のくせに異常にタフすぎ…
どちらもそこまで頑丈な生物じゃ無いんだから、あそこまで銃でガンガン撃たれたら流石に死ぬと思うんですが…
しかし、『怪物の暴れるシーン』に関してはそこそこ満足のいくレベルではあったのですが、キャラクターの描写やストーリーに関しては物凄く適当な感じ(地元TV局のレポーターとかお話の本筋に全く絡まないのに出す必要があったのか?)ですし、ラストのオチに関しても『もう少し盛り上がる展開』か『もう一捻り』が欲しかったです。
総評としましては、色んな意味で『非常に分かりやすい内容』で、良い意味でも悪い意味でも『直球ストレートな低予算モンスター映画』って感じの作品です。
恐ろしい程に中身の無い作品なので、暇つぶしに『怪物が水着の男女をひたすら襲撃するのを頭をからっぽにして楽しみたい』って気分の時には、なかなか向いている作品ではないかと。
息抜きやストレス解消で観るには非常に向いている作品だと思いますので、B級モンスター映画が好きな人であれば、とりあえずチェックしておいても損は無いタイトルでは無いかと…
特に『木曜洋画劇場』とかで放送するのには凄く向いてるタイプの作品だと思うので、そういうノリの作品が好きな人であれば是非って感じの一本だと思いますよ。