■■■「シャークトパスVSプテラクーダ」■■■
(50点/モンスター)
兵器メーカーであるサイモダイン社は、シャークトパスを作った国防省に売り込むために、新たな生物兵器として魚と翼竜の遺伝子を合成して生み出した空と海を自在に行き来できる怪物『プテラクーダ』を開発する。
しかしプテラクーダは運用実験中の謎の暴走により逃走。
プテラクーダを捕まえるための作戦を開始したサイムス博士らは、偶然にも数年前に死んだ筈のシャークトパスの卵が地元の生物学者によって回収され、極秘裏に育てられていた事を発見。
シャークトパスをプテラクーダの捕獲のために使えないかと考えた彼らは、シャークトパスを拉致し制御装置を取り付けて再びサンタモニカの海へと解き放つが…
タコとサメを合わせた怪物であるシャークトパスと魚と翼竜を合わせた怪物であるプテラクーダとがサンタモニカのビーチで対決するという、モンスターパニック映画。
数年前にロジャー・コーマンによって製作された「シャークトパス」の続編に当たる作品ですね。
サメ+タコというインパクトのある怪物のデザインで話題を読んだ前作ですが、今回は怪獣映画の続編のお約束という感じで新たに魚類(バラクーダ)と翼竜(プテラノドン)を合成した怪物「プテラクーダ」が登場してシャークトパスと対決するという内容なのですが…
ぶっちゃけ直球ストレートで小気味良い快作だった前作に比べると、『全体的にイマイチになっちゃったなぁ…』ってのが正直な感想です。
相変わらずコーマン御大の作品らしく、細かい事は気にせずにひたすらテンポが良くて退屈しない作りなのは良い感じなんですが、作品的には怪物が二匹も登場するんだから内容的には当然スケールアップを期待する訳ですが、予算的には前作とそこまで変わらなかったのか怪物の登場シーンが2匹分に割かれてしまったせいで、それぞれ怪物の出番が少なくてどうにも物足りない印象。
前作はもっとバンバンと襲撃シーンがあったような気がするのですが、本作ではそれぞれの怪物の襲撃シーンが矢鱈とアッサリしてていま一つ見ごたえがありません。
代わりに追加された怪物同士の対決シーンはなかなか気合が入ってて迫力があるのですが、CGの都合なのか予算の都合なのか矢鱈と水中でばかり戦うシーンが多いんですよね。
もっと陸上でバンバン周りを巻き込みながら大暴れして欲しかったので、ちょっと残念なところです。
また怪物に関しても、シャークトパスは相変わらず個性的なデザインが可愛くて良い味を出しているんですが、プテラクーダの方は『バラクーダ+プテラノドン』という割には魚要素が尾びれぐらいしか無くて、いまひとつインパクトが無いのが惜しいんですよね。
シャークトパスに対抗するなら、もっとトンデモ生物の合成みたいなデザインにしても良かったんじゃないかと思います。
あとマトモなストーリーの存在しなかった前作に比較すると、本作はマッドな科学者やらプテラクーダを悪用しようとするテロリストが登場したりと凝った作りになっているのですが、どうにも登場人物にあんまり魅力が無くてお話があんまり面白く無いのも辛いところ…
主人公も出番が多い割には影が薄いですし、キャラが立ってるのは性格の悪い悪役ばかりなのはどうなんだという印象。
ヒロインも『シャークトパスと心を通わせてる』みたいなネタでもあるのかと思いきや、ちっとも心を通わせられてなくて怪物退治にも役に立ってないので『お前は何しに出てきたんだよ?』って感じ…
他にもストーリーもツッコミどころが満載で、『怪物に制御装置を取り付けてコントロールする』という設定の割には、どっちもコントロールしてるうちから無関係な民間人をバンバン襲いまくってて『いやいや、全くコントロールできてないですやん!!』とツッコミを入れたくなったのは私だけですかね…
総評としましては、相変わらずのテンポの良さは良い感じなのですが内容的には凡作レベルの『低予算モンスター映画』って感じですかね。
タイトルからもっとハッチャけた内容を期待していたのと前作が割と良く出来ていたのとで期待していたのですが、ちょっと肩透かしを食らわされた感じでした。
まあそれでも、平均的な『トンデモ系モンスター映画』としてはそれなりに楽しめる内容ではありますので、そういうお馬鹿なイロモノ映画のノリの好きな人であればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。