NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ファイナル・アワーズ」(60点/パニック)

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■■■「ファイナル・アワーズ」■■■
(60点/パニック)

 近未来、北大西洋に巨大な隕石が落下した事による強大な衝撃波と地殻津波によって世界はまさに滅亡しようとし、12時間後に滅亡を控えたオーストラリアでは絶望して自殺をする人や暴動を起こす人によって街はパニックに陥っていた。

 プレッシャーと恐怖に耐えかねで恋人の元から逃げ出したジェームズは、最後の時を友人たちとバカ騒ぎをして過ごそうとするが、パーティ会場へと向かう途中で暴漢に拉致されそうになっていた一人の少女を発見し救出する。

 救出したローズと名乗るその少女から『父親の元へと連れて行って欲しい』と頼まれた彼は、なりゆきから彼女の父親を探してやる事となるが…



 巨大な隕石の衝突によって12時間後に滅亡を控えた世界で、一人の男が少女と出会う事で自分の生き方を見直していくという、ロードムービー風のディザスターパニック映画。

 いわゆるTSUTAYA独占レンタル』のパニック映画なのですが、シッチェス映画祭で高評価された作品という事だけあって、微妙な作品が多いTSUTAYA独占作品のなかでは割と当たりの部類の作品です。

 ただ『巨大隕石による世界の滅亡』とかって設定を聞くと派手なディザスターパニック的な内容を予想してしまいますが、実際の中身の方はそういう要素は殆ど無くて、むしろ『人間ドラマを中心に描いたロードムービーという感じのお話なので、そういうパニック方面に期待してた場合は肩透かしを食らわされちゃうかも?

 でもお話自体はツマんない訳じゃなくて、かなりシッカリと作られた人間ドラマで『ちょっと良い話』系のストーリーはなかなか面白いです。

 お話としては、『世界滅亡を目前にしてプレッシャーから逃げ出した男が、一人の少女を救う事によって自分の生き方を見直していく』というような感じのストーリーで、割と地味で重めな作品という印象。

 『もし明日死ぬ事になったとして最期の時をどう過ごすべきか』とか『後悔しないような生き方が出来ているか』という事やら、色んな事を考えさせられるようなテーマを持ったお話ですね。

 また、ストーリーテリングやキャラクターの描写が非常に良く出来ており、逃げ出そうとしていた主人公が少女を救う事で『どのようにして心境を変化させていくか』が物凄く丁寧に描かれており、展開になかなか説得力があって主人公に共感を持ちやすいのは良い感じでしょう。

 また世界滅亡がテーマだけあって、人の死にまつわるシビアなシーンとかも結構あってお話の内容はちょっとシリアスな印象ですね。
 隕石衝突による『静かな世界滅亡』というノリから、なんとなく新井素子ひとめあなたに…とかを思い出してしまいましたよ。

 ただ映画のテーマ性もハッキリしてて人間ドラマとしては面白いのですが、パニック映画の割には全体的に非常に地味な内容なのはいかんともし難いところ。

 せっかく『巨大隕石による世界滅亡』という設定の割には、スペクタクル的な要素が全く無くて正直ちょっと物足りません。

 もうちょっとパニックや災害の要素もあって『思いがけないトラブルが主人公の前に障害として立ちはだかる』みたいなシチュエーションもちょっとぐらいはあっても良かったんじゃないかなぁ?
 ラストもアッサリしすぎて、ちょっと物足りない感じでしたし…

 というか『隕石の衝突による地殻津波で世界が滅亡する』って設定は分かるにしても、その前に『隕石の影響で発生した地震とか爆風とかは先に届くんじゃないのか?』という気がしたのは自分だけですかね?(てっきり、そういうパニック要素も少しはあると思ってたんですけど…)


 総評としましては、地味な内容ながらも『なかなか良く出来た人間ドラマ風味のパニック映画』だと思います。

 自分探し系のロードムービーとかが好きな人やら、パニック映画の人間ドラマ的な要素が好きな人とかなら割と楽しめる作品だと思いますので、そういうノリが好きな人であれば観ておいても損は無いでしょう。

 逆にディザスターパニック要素やスペクタクル的な要素に期待してると肩透かしを食らわされますので、そういう要素が好きな人は期待半分ぐらいにしておいた方が良いかもしれません。