■■■「デス・ストーム」■■■
(55点/パニック)
アメリカ南部の小さな田舎町ミニンワ。
この町では、生活苦にあえぐ農家の老夫婦とゲイであることをカミングアウトできずにいるその息子。
なんとかマイホームを手に入れようとする不法入国者のカップル。
望まない妊娠が発覚してしまった少女等、小さいながらも様々な悩みを抱えた人々が、それぞれに精一杯生活を続けていた。
しかしそんなある日、町の周辺で史上最大規模の嵐が発生。
町の全てを破壊するほどの巨大な竜巻が直撃してしまい…
様々な悩みを抱えつつ『ごく普通の人々』が暮らすアメリカ南部の小さな町を史上最大規模の竜巻が直で気する…という、竜巻を題材としたディザスターパニック映画。
「デス・ストーム」なんていう物凄く仰々しい邦題が付いていますが、実際の中身の方はディザスターパニック映画というよりは人間ドラマに重きを置いた内容になっており、『群像劇』を中心として『人間ドラマ/8:パニック要素/2』ぐらいの割合でドラマ部分に重きが置かれた作品という感じ。
特にお話の前半部分はパニック要素は微塵も無くて、『小さな町でそれぞれに悩みを抱えながらも懸命に生きる人々の姿』がリアルに描かれており、そんな人々の平凡な暮らしが、原題にもあるたった「13 Minutes(13分間)」の竜巻の直撃によって粉々に打ち砕かれてしまうという様子が、恐ろしく克明に描かれた作品です。
本作の特徴は、とにかく誇張が無くて『ひたすらリアルに災害の現場を淡々と描いている』という点。
たった一つの巨大な竜巻によって、一瞬にして町や人々の生活が破壊されてしまうというあっけなさや、災害を何とか逃れた人たちが生き残った人たちを懸命に救助しようと奮闘する姿がとにかくリアル。
本作の中で描かれていた『竜巻の直撃を高速道路の高架下でやりすごした』みたいなエピソードは現実でも聞いたことがあるので、災害の現場とか救助の様子なんかは『実際に被災した人たちの体験談』を元に作られたシーンや映像なのかも?
『リアル寄りの作品』故にあまり派手さは無いですし、人間ドラマ部分が多いのでちょっと退屈な内容ではあるのですが、逆に淡々としているが故に表現がリアルすぎて怖いといった部分もあり『実際に地震や洪水等の被災された人には刺激が強いかも?』と感じてしまった部分もあったのは気になるところかも?(実際に自分も、映画を観てて被災地のニュースの映像とかをめっちゃ思い出しましたし…)
それぞれに悩みを持つ人たちの暮らしが『大自然の脅威』によって一瞬にして打ち砕かれてしまうという儚さと人間という生き物の弱さ。
そして、生き残った人々は『それでも前に向かって歩み続けなければならない』という人間という生き物の強さといったものが描かれた、『非常にテーマ性の強い内容のディザスターパニック映画』という感じの作品でしたよ。
総評としましては、やや退屈な部分も含めて『良くも悪くもリアリティ要素の強いディザスターパニック映画』という感じですね。
まるでドキュメンタリーのような『シリアスでリアルなテイストのパニック映画』というジャンスに興味があるのであれば、観ておいても損は無い一本ではないでしょうか?
逆にパニックものでもハリウッド映画的な派手さとかは全くないですし、『リアル過ぎて実際の災害のトラウマが蘇るのはちょっと』というような方には、ちょっとオススメし難い感じの作品かもしれません…