NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「コンクリート・ユートピア」(55点/パニック)

■■■「コンクリートユートピア」■■■
(55点/パニック)


 世界各地で起こった謎の地盤隆起現象による大災害で、ソウル市街では殆どの建物が倒壊。


 災害をなんとか生き延びた人々は、偶然にも奇跡的に崩壊を免れた巨大マンションである『ファングンアパート』に押し寄せる事となる。


 最初は避難民を受け入れていたものの、アパート内での不法侵入や犯罪行為が横行するようになり、危機感を抱いた住民たちは、自分たちの身を守るために、火災現場で捨て身の消火活動を行った902号室のヨンタクを『代表』として防衛隊を結成。


 アパート外の住人を追い出し、閉鎖的な環境での厳格なルールの下で『ユートピア』を築きあげるが、食料や物資が乏しくなるにつれて住民たちはエゴを剥き出しにするようになり、やがて『代表』であるヨンタクもその秘められた狂気が明らかになっていき…

 


 大災害によって崩壊した都市で、生き延びた人々が築き上げたいつわりの『楽園(ユートピア)』の崩壊までを描いた、韓国製の人間ドラマ風味のディザスターパニック映画。


 一応、パニック映画と分類しているもののパニック要素はそこまで強くなくて、むしろ『災害の後に生き延びた人たちが自分たちの利益を守るために団結するものの、そのエゴによって滅びへと向かっていく』みたいな感じで、系統的には人間ドラマ要素が強めの内容。


 お話的には、災害を逃れたマンションの住民で、マンションの運営を行う『代表』として選ばれた男と、男の片腕として『防衛隊長』として選ばれた男の『ダブル主人公』的な構図でお話が進んでいく感じの展開。


 唯一の被災を免れたマンションの住人たちが、自分たちの優位な境遇から選民思想的な考えに囚われて徐々にエゴを剥き出しにしていくなかで、住民たちへの支配力を強めていくうちに徐々に狂気に駆られていく『代表』と、疑問を持ちつつも生きるために仕方なく活動する『防衛隊庁』という2つの立場から物語が描かれていきます。


 120分強と尺が長めですが、この2人の人間ドラマやらキャラの掘り下げに多くの尺が使われている感じで、その分しっかりとキャラが掘り下げられており、作中で独裁者的な立場になる『代表』の男性キチンとその立場や行動が理解できるような構成になっているため、単に『権力を手に入れて狂気に狩られたヤバい奴』で終わってないのは良い感じです。


 ディザスターパニックらしく少しだけ災害シーンも描かれますが全体的な尺のなかでは短めで、殆どは『崩壊した後の世界』が描かれるポストアポカリプスもののような内容。


 メインの舞台が被災後の廃墟なのに加えて、極限状態での人間の『醜い部分』を描き出すような話のため、途中から『あまり救いのない感じの展開』なのが予想できるため、終始重苦しい気分になってしまうのはちょっと辛いところかなぁ?


 オチの落としどころとかは悪くないものの、もうちょっと緊張感のある災害シーンとか見せ場となるシーンを描いてテンポを良くするか、希望の持てそうな要素が多くあった方がスッキリと観れる内容になって良かったかも…

 


 総評としましては、そこそこ良く出来た『ポストアポカリプステイストのディザスターパニック映画』って感じですね。


 悪くはない内容なのですが、人間ドラマが中心でお話が全体的に重めなのに加えて尺も少し長めなので、観ていてちょっと疲れる映画というのが正直な感想です。


 そういう『重めのドラマ』が好きな人であれば割とオススメ出来る内容だと思いますので、気になるようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。