■■■「奈落のマイホーム」■■■
(60点/パニック:結構オススメ)
平凡なサラリーマンのドンウォンは、11年間の倹約生活を経てソウルに念願のマイホームとなるマンションを購入。
妻や息子と共に引っ越して来る事となる。
しかし、同僚を招き『引っ越しパーティー』を開いていた矢先に、マンションはシンクホール(陥没穴)による地盤沈下によって、マンションは地底深くへと落下。
マンションの住人達は、地下200mもの奈落の底に閉じ込められてしまう。
陥没をなんとか生き延びたドンウォンは、いまひとつソリの合わない隣人のマンス、その息子のスンテ、そしてパーティに訪れていた彼の同僚たちと共に地底で救助を待つ事となるが、折からの悪天候により救助は難航のうえ地底への浸水が始まってしまい…
突然の陥没穴の発生によりマンションごと地底深くに閉じ込められた住人たちが、なんとかして奈落の底からの脱出を目指すという韓国製のディザスターパニック映画。
洪水や地震をテーマとしたディザスター映画は割とありがちですが、『地盤沈下でマンションごと地底に沈んでしまう』というのは一発ネタっぽくはありますが、なかなか面白いアイデアのパニック映画ですね。
『そんなマンション一棟だけ、まるまる何百メートルも陥没するような陥没穴が空くことある!?』とか色々とツッコミどころはありますが、思いついたアイデアをそのまま映像化してしまおうというフットワークの軽さとバイタリティには感心させられるところ。
ただパニック映画と言いながらも割とコメディ要素が強めの内容で、やたらとアクの強い主人公やらヘタレな同僚たち、アウトローっぽい隣人といった『かなり濃い目のキャラクターたちが、悲喜こもごもを交えつつもなんとかして難局を乗り切ろうとする』というような構成になっており、特に序場~中盤辺りはネタ映画的な要素が強めの印象。
『緊迫感が売りのパニック映画でコメディ色が強いのってどうなの?』という疑問もありますが、『最初は仲の悪かった住人達やヘタレだった登場人物が危機を目の前にして力を合わせあって障害を乗り越えていく』という構成はコテコテながらもなかなかに熱くて面白いです。
またややネタバレになってしまいますが、シリアスな展開に突入する終盤からの展開が非常に熱くて、そのギャップが面白さを生み出しているのは悪くない印象。
伏線の貼り方を活かした最後まで先の読めないお話や、終盤の展開の熱さも良い感じで、全体的に非常にカタルシスのある作りになっているのは良く出来ています。
ただ、先述のとおり『妙にコメディ色が強い』のは好みの別れる部分と思われる要素で、特に主人公を含めたメインの登場人物が軒並み『非常にウザいキャラ』なんですよね。
シリアスな終盤とのギャップになっている部分ではあるのですが、災害が起こってお話が動き出すまでのキャラ紹介的なパートが結構長めで、ウザいキャラたちの小芝居を延々と見せられるので、ちょっと冗長に感じてしまう部分があったのは気になるところかなぁ…
序盤でコメディ的なノリでキャラを掘り下げたかったのは分かるんだけど、『主要登場人物の全員がここまでウザいキャラじゃなくても良かっただろ?』とツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね。
総評としましては、B級で一発ネタっぽい設定ながらも『意外と良く出来たディザスターパニック映画』って感じすね。
コメディ要素とかやや濃すぎる登場人物とか、ちょっと観る人を選ぶ部分はありますが、そういう部分を差し引いて観れば内容自体は意外と正統派で楽しめるパニック映画という印象。
ディザスターパニックとかが好きで設定とか含めて気になるようであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本かもしれませんよ。