NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「リベンジ・ガール」(40点/アクション)

■■■「リベンジ・ガール」■■■
(40点/アクション)


 2065年の中国では、チョン・フェイ率いる秘密組織『知能集団』によって、脳にICチップを埋め込む事で超人兵士を作り出す人体実験が密かに行われていた。


 そんなある日、研究員の科学者であるフオ・ランは、被験者である幼い自分の娘シンイーと、アーフェイと名乗る少年を連れて研究所からの脱走を試みるが、組織の人間に追跡され何とかシンイーのみが脱出に成功する。


 そして10年後、祖母の元でチェンホーという偽名を使って祖母の元で暮らしていた彼女は、ある日、『知能集団』の研究所からの脱走者の青年をかくまった事から組織にその存在を知られてしまい、10年前に脱出に失敗し組織の尖兵となったアーフェイが彼女に迫るのだった…

 


 秘密組織から脱走し母親を殺された少女が、その能力を用いて組織への復讐を誓う…という、中国製のSF系アクション映画。


 高度成長に伴ってSF映画やらモンスター映画が量産されまくっている中国ですが、本作もそんな中の中国製の新作SFアクション映画の一本ですね。


 なんかタイトルだけ聞くと『レイプリベンジもの』っぽい雰囲気ですが、実際の中身の方はそんな要素は無くて『秘密研究所で実験体として育てられていた少女が脱走し、その超能力を用いて復讐を誓う』という、日本のアニメとかマンガが好きな人であればどこかで聞いたことのありそうな設定のお話で、映画の中身の方もそういった方向性を意識しまくって作られた作品という印象です。


 世界観やら雰囲気とかも、2000年代頃に日本で量産されたサイバーパンクやニューウエーブSF系のアニメやコミックそのものといった感じで、サイバーで退廃的なディストピアっぽい未来社会の雰囲気なんかは割と良く出ていて良い感じ。


 ただ作品の欠点までもが、昔の日本の『量産型の近未来SFアニメ』と全く同じというのは困りもの。


 サイバーパンクっぽい雰囲気作りは悪くないのですが、世界観やら雰囲気の作り込みだけで終わってしまっており、どうにもひとりよがりな感じでお話の内容がとにかく薄くてどうにも中身のない作品という印象。


 主人公たちのキャラの描き込みが浅いうえに、プロットがあまりにもステレオタイプすぎて、作品としてこれといった個性が感じられないんですよね。(主人公と祖母の家に一緒に住んでいる少年との関係性とか最後まで良く分からなかったです…)


 あと世界観をシッカリと描くのは良いのですが、主人公が覚醒するまでの展開が長くて、全体的にお話のテンポが悪い印象を受ける作りなのも残念なところ。


 ちなみに、本作の主人公の超能力は主に『超高速格闘』みたいな感じなのですが、この高速バトルのシーンはいかにもアニメ的で良い感じ。


 ただ、主人公が覚醒してからの展開は派手で面白いのですが、そこまでのストーリーがダルくてあまり面白くないのと、終盤にドンデン返し的な展開があるものの『だからなんだよ?』みたいな感じで、お話としての面白さに繋がっていないのは気になるところかなぁ…(これってキャラの個性を出したというより、単に『主人公が嫌な奴だった』というのが判明しただけでは…)


 ラストのオチも何が言いたいのか釈然としないですし、何か『日本のひと昔前のB級SFアニメの悪い部分までコピーしちゃった』みたいな作品でしたよ。

 


 総評としましては、『いま一つキレと盛り上がりに欠ける近未来SFアクション映画』という感じですかね。


 アクションシーンとかの部分的には観るべき要素もあるのですが、プロットやらネタやらが使い古された内容という感じなので、正直なところそれだけのために観るには弱い作品という印象です。


 予告とかを観て気になっているのであればチェックしてみても良いかもしれませんが、B級映画にに良くある『見せ場が予告に集約されちゃってる』タイプの作品なので、そこまで急がないならどこかのサブスクとかに入るのを待った方が良いかもしれませんよ…