NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サバイバー 極限の生存者」(65点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「サバイバー 極限の生存者」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)


 1981年8月24日。
 ウラジミールとラリサは新婚旅行から帰郷するために、コムソモリスク・ナ・アムーレ空港発の旅客機に登場する事となる。


 しかし、管制官の通達ミスによって旅客機は高度5000mの上空で偵察機と衝突。
 機体は上空でバラバラに空中分解し、乗客たちを空中に投げ出しながらタイガ(針葉樹林帯)へと墜落してしまう。


 足に負傷を負いながらも半壊した機体の中で奇跡的に一命を取り留めたラリサは、空中に離れ離れになってしまった夫のウラジミールを捜索するために『機体の前方部分』が落下した場所を目指すが、その森は厳しい自然環境に加えて、事故で亡くなった人間の死体を食べるためにトラが徘徊する、恐ろしく危険な場所だった…

 


 航空機の空中衝突事故をなんとか生き延びた女性の体験する極限状況でのサバイバルを描く、ディザスターパニック系のサスペンススリラー映画。


 冷戦時代のロシアで実際に起こった航空機衝突事故を題材とした、実話をベースとしたロシア製のサスペンス映画ですが、特に話題にもなっていなかった割になかなか良く出来た作品です。


 お話としては『航空機の空中衝突事故でタイガ(針葉樹林帯)に墜落してしまった女性が、空中ではぐれてしまった行方不明の夫を探しつつ生還を目指す』といった感じの内容。


 タイトルやパッケージからして、バリバリのディザスター系サバイバル映画っぽいですが、事故の直後に時間軸が『事故の1年前』に戻って『主人公たちの馴れ初めのエピソード』が挿入されてみたりと、ちょっと独特の構成の作品です。


 ただ『独特の構成』だからといって難解で見づらい内容とかではなくて、パニック映画としても墜落シーンの描写も物凄い迫力がありますし、個性的な演出やらが多くて監督独自の世界観が感じられて、全体的に非常にセンスの良さを感じさせられます。


 主人公のサバイバル描写に関しても、単純にパニックに陥る訳ではなく割とシッカリと『生き残るために考えて行動している』感があって、パニック映画にありがちな主人公のアホな行動とかがあまり無いためストレスが貯まらずに観れるのは好感触。
 設定的にも過剰に厳しい環境でのサバイバルでもないため、嘘の無い感じのリアルさが感じられるのも悪くありません。


 また主人公がサバイバルをしている間に、裏では軍隊が事件の隠蔽のために動いていたり、冷戦時代の当時の世界情勢を感じさせるような描写があるのも面白いですね。


 主人公のキャラに関しても、ちょこちょこと回想シーンを挟む事でシッカリと掘り下げられているのですが、そういった脇のドラマ部分が長すぎる事もなく、色んなシチュエーションや背景を描いて行く事で『お話の広がりを感じさせる作り』になっている辺りにもバランス感覚の良さを感じさせられます。


 こういった閉塞感を感じがちなサバイバル系映画で、色んな要素を詰め込むことで、退屈させない作りになっているのは良いですね。


 ラストのオチの落としどころやらオマケ映像的なものもセンスが良いですし、全体的に非常に良く出来ている印象。


 ただ、最初の事故のあとの『過去の回想シーン』が割と長めで、『えっ、飛行機事故はどうなっちゃったの?』とちょっとモヤモヤさせられてしまった辺りと、迫力ある『墜落シーンの映像』以外は特に見せ場となるようなシーンが少なく、パニック映画としては全体的に地味な印象を受けてしまったところは、ちょっとだけ不満点かなぁ…

 


 総評としましては、『なかなか良く出来た良作レベルのディザスター系のサバイバル&サスペンス映画』って感じですね。


 ノリとしてはサバイバル要素はそこまで強くなくて、どちらかというとサスペンス映画に近いテイストの作品ですので、ガチのディザスターパニック系の映画を期待していると、ちょっと肩透かしを喰らっちゃうかも?


 雰囲気やら世界観やらも含めた形で『全体的に非常に良く出来た作品』ですので、設定やらが気になった場合はチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。