■■■「ロード・オブ・モンスターズ 怪獣大決闘」■■■
(50点/モンスター)
2年前、外宇宙物質の影響で巨大化して、ワシントンでトカゲ型の巨大生物と死闘を繰り広げた類人猿型の巨大生物エイブラハムは、今はNASAによってネブラスカ州の自然保護区に保護されて生活を送っていた。
しかし怪獣を恐れる近隣の住民の抗議活動によって、保護区から追い出される事が予定されており、その気配を敏感に感じ取ったエイブラハムが強いストレスを感じていることに、研究者で彼の保護者でもあるスローンは気を病み続けていた。
いっぽう、エイブラハムの戦闘力に目を付けたアメリカ軍は、エイブラハムの能力を模倣したAI動作する巨大戦闘ロボット『メカエイプ』を極秘裏に開発。
実践投入のテストを行うが、実験中のメカエイプは敵国のスパイの率いるテロリストによってハッキングされて奪われてしまったうえに、廃棄処理予定だった核弾頭までもが奪われてしまう。
テロリストの目的が核弾頭を用いて都市を破壊する事だと気付いたアメリカ軍は、『メカエイプ』の侵攻を阻止するためにエイブラハムを輸送して戦わせる作戦を計画するが…
宇宙物質の影響で巨大化した巨大類人猿であるエイブラハムと、それを模倣して作られた巨大兵器『メカエイプ』が死闘を繰り広げる…という、怪獣映画風味のモンスターパニック映画。
ASYLUM版「キング・オブ・モンスターズ」である「ロード・オブ・モンスターズ」シリーズの第三段ですが、今回は特に本家の公開にあわせたという訳でもなく新作の登場です。
今回は、いわゆる「ゴジラVSメカゴジラ」というか「コングVSメカニコング」(「キングコングの逆襲」)をリスペクトしたみたいな設定のお話となっています。(ちなみに原題はそのまんま「APE VS MECHA APE」)
一応、巨大類人猿である『エイブラハム』の設定とかは前作から引き継がれており、ストーリー的には繋がっている感じにはなっているのですが、登場人物やらは変わってしまっており真面目にストーリーを繋げるつもりがあるのか謎な印象。
ちなみに、前作では設定のとおりに『巨大なチンバンジー』だったエイブラハムの見た目が、本作では完全に『巨大ゴリラ』に変わってしまっているのは気になるところですが、まあ前のデザインだと物凄く弱そうだったので妥当なデザイン変更と言えるかも?
相変わらず物凄いテンポの良い構成で、最低限の前振りと説明だけで巨大ゴリラやそれを模倣した巨大ロボットが登場して、速攻で奪われて街が破壊される…という感じでサクサクとお話が進んでいくのは良い感じ。
あまりにもサクサクとお話が進むので、怪獣の登場シーンの少ないままにお話が展開してもあまり気にならない構成になっているのは、なかなかに良く出来ています。
トランスフォーマー(ビースト覚醒)っぽいメカエイプのデザインも悪くないですし、色々と頑張って作っているのは感じ取れます。(というか、今回はトランスフォーマーの新作に便乗したのか?)
ただ、とにかく『予算が足りなかったんだろうな』と感じさせられる部分が非常に多いのは困りもの。
エイブラハムとメカエイプの対決がメインの筈なのに、両方とも実際の画面への出番は少な目のうえ、特に双方の『対決シーン』は終盤にちょっとだけある程度。
街の破壊シーンやらのスペクタクルのシーンでも『登場人物がアップになって喋ってるだけ』みたいなカットが物凄い多くて、予算不足なのは分かるにしてもちょっと辟易とさせられてしまいました。
だったら、せめて人間が主体のアクションシーン(パニック描写や銃撃戦とか)でも取り入れれば良いと思うのですが、それすらも少な目なのでお話のテンポは良いのに物足りなさを感じる構成になってしまっているんですよね…
そんな感じで『ガチで予算が足りなかったんだろうなあ…今後に展開予定の「アサイラム マルチバースアルマゲドン」に予算を取られてしまったんだろうか?』とか、要らぬ詮索をしたくなってしまうのは厳しいです。(笑)
終盤の展開とかはなかなか熱くて良かったので、もうちょっとキチンと作られてたらなぁ…と思わなくもない作品でしたよ。
総評としましては、どうにも物足りなさの残る『いま一つな出来の低予算怪獣映画』って感じですね。
色々と怪獣映画をリスペクトしたり頑張っている部分は感じられるのですが、いかんせん予算の問題もあって見せ場や迫力のない作品になってしまっているのは残念なところ。
まあでも、物足りないといっても『いつものアサイラムのレベル』ではあるので、今までの本シリーズをチェックしているような人であれば、そういうのを理解したうえで本作もとりあえずチェックしてみるのも良いかもしれませんよ。