NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「モンスターズ・フォレスト」(50点/モンスター)

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■■■「モンスターズ・フォレスト」■■■
(50点/モンスター)

 西暦1999年の12月31日。
 キャンプをしながら年越しをするために、親子3人で山中の廃村を訪れたバイロンらの一家は、深夜に突如として現れた謎の男たちの襲撃を受け家族ともども拉致されてしまう。

 バイロンは、彼らを襲撃したのは『廃村に密かに暮らす狂人の一族』で、彼らの娘であるクラリッサを『妻』として一族に迎え入れようとしていると知った事から、隙を突いてなんとかして娘と妻を助けだそうとするが…

 しかしそんな最中に彼らの思惑とは別に、山中では先住民の伝説に伝わる『1000年に一度だけ目覚める』とされる巨大な怪物『ミレニアム・バグ』が、今まさに永い眠りから目覚めようとしていたのだった…



 とある一家が人里離れた山中で千年に一度だけ目覚めるという『ミレニアム・バグ』という怪物に遭遇するという、モンスターパニック映画。

 パッケージが何故か「デビルズ・フォレスト」という作品のパクりになっていますが、お話の内容的には特に関係はありませんし、そもそもパクる元の映画がそこまでメジャーじゃないので、何のためにパクったんだか良く分かりません。
 (特に作品のアピールになっているとも思えないので、単にまぎらわしいだけなんじゃ…)

 まあソレはさておき…
 アメリカ産のモンスター映画というと『実在の生物が巨大化した程度』の作品が多い印象ですが、本作は全長20mの架空の巨大な怪物が登場すると言う事で、どちらかというと『怪獣映画』にカテゴライズしても良いような感じの怪物の登場するという珍しい作品ですね。

 本作の見所はなんといってもスケールのデカい『巨大な怪物』の姿にあると思うのですが、怪物のデザイン的にも『虫のような頭に巨獣のような胴体』というファンタジーRPGの敵モンスターみたいな独特のビジュアルは、なかなかインパクトがあって良い感じ。

 怪物の特撮も、いまどき珍しい『着ぐるみ&合成』や『ミニチュアセット』を使用して撮影しているようなのですが、人間との絡みが多めなので巨大な怪物のスケール感が良く出ており、襲撃シーンは低予算ながらもなかなか迫力があります。

 また、最近のCGモンスター映画には無い『着ぐるみ特撮ならではの独特のテイスト』が出ているのも、オールドスタイルの怪獣映画が好きな人には嬉しい印象です。

 ただ怪物の造型や特撮は製作者のこだわりを感じさせるレベルで良い感じなのですが、肝心のストーリーの方がかなり微妙なのは残念なところ。

 何が微妙って、まず『怪物が登場するまでが非常に長い』という事ですね。

 怪物の『前振り』はかなり序盤からあるのですが、予算の都合とかもあるのでしょうがとにかく怪物がなかなか姿を現さずに、怪物がマトモに登場するのは90分の映画で60分ぐらい経過した辺り…

 じゃあ怪物が登場するまでの時間は何をやってるのかというと、『山中に住むキチ●イ一族に拉致されたとある家族が、なんとかして彼らの手から脱出しようとする』という感じのストーリーが展開されており、このパートがまるっきり『スラッシャーホラー映画』のノリで、思わず『借りてくる映画を間違えたんじゃないか?』と疑いたくなるようなレベルです。

 更にこのキチ●イ一族が非常に不気味(というかキモい)&不愉快な連中で、加えて結構グロい残虐シーンとかも多めに挿入されるため、正直言って観ててちょっと気持ち悪くなるレベル。

 こっちは怪物の暴れる姿が観たいのに、1時間以上に渡って気色の悪い『キチ●イ一族が大暴れしている様子』を観させられるだけという展開には、流石にちょっと辟易としてしまいましたよ。

 怪物の設定に関しても中途半端な感じで今ひとつ説得力が感じられなかったので、もっと怪物の設定とかも含めてシッカリと描きこんで、怪物に存在感を持たせて欲しかったです。

 また怪物が登場してからの展開もあまりカタルシスが感じられないシーンが多いですし、ラストの妙に後味の悪いオチも『何だかなぁ…』って感じですし、ストーリーに関してはもうちょっとどうにかならんかったかなぁ?


 総評としましては、総じてそこまでツマんない訳では無いものの『モンスター映画として観ると、どうにも物足りなさの残る作品』といった感じです。

 最初から『スラッシャー映画+モンスター映画』の混合作品と割り切って観れば良いのかもしれませんが、かと言って怪物の登場しない部分に関してもキチ●イ一族がウザすぎてかなりイラっとする内容ですし…怪物の造型とか特撮の雰囲気とか誉めるべき部分もいっぱいあるのに、なんとも惜しい…

 ただまあ不満点も多いながらも、怪獣が大好きで『低予算の怪獣映画』的なノリが気になる人であれば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本ではあると思いますよ。