NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ハチェット レジェンド・ネバー・ダイ」(50点/スラッシャー)

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■■■「ハチェット レジェンド・ネバー・ダイ」■■■
(50点/スラッシャー)

 沼地で伝説の殺人鬼ビクターの襲撃を受けたものの、逆に完膚なき迄に撃退したメリーベスは、茫然自失のまま事件の惨状を警察に告げるために警察署を訪れる。

 しかし警察は彼女の話を信じずに、逆に大量殺人の彼女を容疑者として拘留。
 保安官のルイスは、彼女の証言を確認するために警官隊を率いて事件の現場であるハニー島の沼地へと向かうが、果たしてその現場で大量の遺体を発見する。

 そんな矢先、ビクターの都市伝説を追う記者のアマンダという女性が、メリーベスにビクターの事件の話を聞くために訪れるが、彼女から『ビクターはその呪いによって、たとえ殺しても毎晩死ぬ前の状態に蘇る』という驚くべき事実を知らされ…



 沼地に棲む不死身のフリークスの殺人鬼であるビクターの恐怖を描いた、スラッシャーホラーである「ハチェット」シリーズの第3弾。

 沼地の殺人鬼「ハチェット」シリーズも、いつの間にやら本数を重ねて3作目という事で、この作品もいよいよ殺人鬼シリーズとして認知されてきた感じでしょうか?

 1作目は「13日の金曜日」の劣化版みたいな内容でパッとしない印象だったものの、2作目ではハイテンションな『やりすぎ残虐お馬鹿ホラー』のノリを導入して良い感じに仕上がっていた本シリーズですが…

 3作目は、逆にやり過ぎで『どこに向かいたいんだお前は!?』という感じになってしまった印象です。

 お話としては完全に前作と繋がっている感じの構成で、ラストでヒロインが不死身の殺人鬼のビクターを完膚なきまでにフルボッコにするシーンから始まるのですが…

 ショットガンで頭を原型を留めないまでにフッ飛ばされたうえに、チェーンソーで胴体をバラバラに切り刻まれた殺人鬼を生き返らせるのは流石に無理があるだろう(コレで生き返ったらプラナリアのようなレベルだよ)…
 と思いきや、殺人鬼がその呪いによって『毎晩、死ぬ前の状態へと蘇ってしまう』という設定(まあ後付け設定なんですが)は、殺人鬼の無茶苦茶な不死身性に説得力を持たせるなかなか上手い設定だと思いましたよ。

 逆に『呪いの元凶を取り除く事で倒せる』という攻略法が用意されてるのも、お話の組み立て方としては面白いです。

 ただ設定は良い感じなのですが、肝心の本編のストーリーの方はイマイチな感じになってしまっているのは残念なところ。

 殺人鬼の不死身性を大幅に強化した事から『派手なストーリー』を描きたかったのかもしれませんが、完全武装の警官隊とSWATを相手にアサルトライフルで猛連射されようがロケットランチャーを撃ち込まれようが意に介せずに突撃してきて警官隊を打ち倒す姿は、もはや殺人鬼でもなんでも無くて単なる『モンスター映画』になってしまった印象です。

 殺害方法もあまり凝った事をせずに『犠牲者を力任せに引きちぎる』みたいなのばっかりなので今ひとつ面白味がありませんし、今までとテイストが違いすぎて『どうしてそういう方向に行っちゃうかな?』という印象。

 まあ殺人鬼の大暴れするシーンは物凄く派手なので見てて面白いですし、無茶苦茶なパワフルさは個性として良い味を出しているとも言えるのですが、あまりにも今までのシリーズのテイストが無くなってしまっているので、せかっくスラッシャーホラーとしてシリーズを重ねて人気が出てきたのに、なんというか勿体無いなぁ…という感じがします。
 (最新作がコレじゃあ次回作は作りにくくなってしまうんでは無いかと…)

 あと本作の微妙な点としては、登場人物の殆ど全員に『恐ろしく魅力が無い』(というかむしろムカつく)という部分でしょうか?

 完全に巻き込まれ型のヒロインはさておき、他のメンツが『口先ばかりで他人の話を聞かない身勝手なアホばかり』で、何の役にも立たずに死んでいくだけなので、とにかくキャラクターに感情移入が出来ません。

 まあムカつく連中が容赦なくバンバン殺されていくので、爽快と言えば爽快なのですが、ホントに一方的にサクサクと殺されるだけなので緊張感が無くて盛り上がりに欠けるんですよねぇ。

 『やり過ぎ残虐スラッシャーホラー』の方向性を目指したのかもしれませんが、やり過ぎる方向性も限度を超えてる感じですし、加えてもうちょっと主人公たちのキャラクターは丁寧に描いても良かった気が…

 また派手なシーンが多い割には、盛り上がるシーンがどのシーンも似たような印象で映画が全体的に平板に感じてしまったので、その辺ももうひと捻り欲しかったかなぁ?

 ラストも矢鱈と唐突で『えっ、そんなんで良いの?』みたいな終わり方だし、どうにも惜しい部分が目に付く作品でしたよ。


 総評としましては、色々とド派手でインパクトのある要素も多いのですが『どうにも物足りなさの残るスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。

 やり過ぎな残虐描写でドロドロのグチョグチョなのが好きであれば、そこそこ満足はできる作品だと思うのですが、ホントに『それだけの作品』で終わってしまっているので、それ以上のオススメ要素が無いのは残念なところ。

 まあ前作までが好きだった人や派手めのスラッシャーホラーが大好きな人であれば、それなりに楽しめるレベルではあると思いますので、シリーズとして気になっているならばチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。