劇場にて「ハロウィン(2018年版)」を観てまいりました。
正体不明の不死身の連続殺人鬼『シェイプ(マイケル・マイヤーズ)』と、彼の殺人事件の生き残りで、40年間復讐のために準備を続けた前作のヒロインとか宿命の対決を果たすという、スラッシャーホラー映画。
1978年に制作されたジョン・カーペンターの「ハロウィン」シリーズの最新作に当たる作品です。
といっても本作ではシリーズの2以降は無かった事になって、ストーリー的には1作目の直系の続編という感じの設定になっています。
本作の最大の面白さはそのプロットの部分にあって、『40年ぶりに解き放たれた不死身の殺人鬼と、その殺人鬼を倒すためだけに40年間ひたすら戦闘訓練と準備を整えて、サラ・コナーばりの戦闘狂ババアに成長した作目のヒロイン(ジェイミー・リー・カーチス本人)』という、初代ファンならずともホラー好きならばワクワクせざるを得ないような設定。
加えて作品を単純な現代風の焼き直しではなく、1作目のテイストをしっかりと引き継いだような作りになっているのも好感触。
『シェイプ』の、音もなく犠牲者に忍び寄ってただただ淡々と殺害するという怒りも憎しみも何の感情も感じさせない『究極の無個性殺人鬼』とでも言うような怖さがシッカリと表現されているのも良い感じです。
(ホントに『シェイプ』の『お馴染みのBGMにのってただ歩いてくるだけで怖い』のは、ちょっとズルいレベル。)
(ホントに『シェイプ』の『お馴染みのBGMにのってただ歩いてくるだけで怖い』のは、ちょっとズルいレベル。)
終盤の、ヒロイン一家三代(お婆ちゃん、娘、孫)が総がかりで不死身の殺人鬼と対決するという展開も熱いですし、この対決のシーンの緊張感も凄い。
でも殺人鬼の不死身っぷりと、それに負けないレベルのお婆ちゃんのタフっぷりには、ちょっと笑ってしまいましたが…(笑)
1作目やジョン・カーペンター作品へのオマージュやリスペクトなんかも随所にしっかりと感じられますし、『40年ぶりに作られた1作目の続編』という意味ではホントに良く出来ている印象です。
(パーティのシーンでの「遊星からの物体X」のパロディには、ちょっと笑ってしまいました。)
(パーティのシーンでの「遊星からの物体X」のパロディには、ちょっと笑ってしまいました。)
ただリバイバル的な続編という意味では物凄く面白いのですが、その要素を無視した場合にそこまで楽しめる映画かと言われると、正直言って悩ましいところなんですよね…
今どきのホラー映画にしては、序盤の展開とかがトロくてちょっと冗長で、やや退屈なものを感じてしまいます。
無個性である事が個性の殺人鬼の『シェイプ』には派手な要素が殆ど無いため、ゴア描写なんかを期待していると肩透かしを食らわされそうなのも気になるところ。
また『1作目のヒロインが40年かけて復讐を画策する』という設定にインパクトがあるのであって、1作目を良く知らない思い出補正のようなものが無い人が観ても、そこまで盛り上がる事ができるかは微妙なところでしょう。
あと、個人的には『70~80年代ホラー的なテイストを現代のスクリーンに蘇らせてくれた』事も評価のポイントなのですが、逆に演出とかに古臭さを感じる人も多いでしょうし、そういう意味では人によって評価の割れそうな作品という感じかもしれません…
総評としましては、『「ハロウィン」の40年ぶりの続編として観るならば、非常に良く出来たスラッシャーホラー映画』という感じの作品なのですが、そうでなければ『良く出来ているけどちょっと地味さが目に付くB級ホラー映画』って感じでしょう。
ですので、1作目が好きな人であれば期待値以上に楽しめる作品だと思うので、ファンであれば観ておいて損は無い一本だと思います。
逆に1作目を観たことが無い人やら、特に思い入れが無い人の場合はそこまで楽しめるか微妙な作品だと思われるので、その辺はお好みでという感じでしょうか…