■■■「ハチェット アフターデイズ」■■■
(60点/スラッシャー)
殺人鬼が棲むと言われる「呪われた沼」で行方不明になった家族を探すために沼の無人島を訪れたメリーベスは、沼で不気味な人物に襲われて命からがら逃げだしたところを付近の小屋に住む一人の男性に救われる。
しかし、その男性に沼へと訪れた事情を話したところ、男は血相を変えて彼女を小屋から追い出し、『「聖ゾンビの店」に行って事情を聴け』と言われる。
彼女は言われるままに「聖ゾンビの店」を訪れるが、そこで自分の両親にまつわる驚くべき秘密を知らされる事となるのだった…
ハチェット(手斧)を武器に殺人を繰り返す不死身の殺人鬼の恐怖を描いた、スラッシャーホラー映画。
殺人鬼役をケイン・ホッダー(ジェイソンの中の人)が演じた事で話題となった「ハチェット」の続編に当たる作品で、一応ストーリー的にもつながりの在る正当な続編です。
本作も殺人鬼のビクターは前作から引き続いてケイン・ホッダーが勤め、いかにも「13日の金曜日」の焼き直しって感じの内容なのも前作と同様ですね。
ストーリーは、この手のスラッシャー映画としては『割と捻りは利いている方』ですが、まあ基本的に有っても無くても問題ないようなレベル。
やってる事も前作とあまり変わらないのですが、前作に比べると『殺し方のバリエーション』に矢鱈と凝るようになっており、「13日の金曜日」の後期シリーズのような『残虐すぎて笑えてしまう』というレベルまで昇華しているのは良いですね。
ボートのスクリューで顔を潰したり、グラインダーで脳みそを削ったりと普通に残虐なのもあるのですが、巨大なチェーンソーで人間を2人同時に真っ二つにしたり、腸を引きずり出して腸で首を絞めて殺したり(いや、首絞めなくても死ぬだろ)といった『んなアホな!!』というような笑える殺し方が増えてるのは観てて楽しかったです。
殺人鬼のビクターも、前作は『何を考えてるのかサッパリ分からない』というイメージでしたが、本作は『殺しを楽しんでいる』ような印象で、ちょっと個性が感じられたのは良い感じ。
全体的に前作から単純にパワーアップしている部分が多く、前作のように中途半端に『正統派スラッシャーホラーを作ろう』とせずに『ネタとして殺人の描写にこだわってみました』という作りになっているのは、シリーズの続編としては正解では無いかと…
ただ難点を挙げるとしたら、割と序盤~中盤の展開で説明的なシーンが多くて、ちょっと冗長な部分を感じた事かなぁ…
終盤の殺人鬼が暴れだして以降は盛り上がるのですが、そこまでの道のりがちょっとダルい印象かも?
あと、ラストのヒロインが『殺人鬼に物凄く念入りにトドメを刺す』のはちょっと笑いました。
この手の『不死身の殺人鬼』が登場するスラッシャーホラーでは『何で、もっとシッカリとトドメを刺しておかないかな?』と思うような作品が多いので、痛快で良かったですよ。(笑)
他に小ネタですが本編の中のワンカットで、同じ監督の撮った「フローズン」のネタが仕込まれてたのは、楽屋オチながらちょっと笑ってしまいましたよ。
総評としましては、ひとことで言ってしまうと『単純で中身の無いスラッシャーホラー』ではありますが、逆にストーリーとか気にせずに『殺人鬼が大暴れする姿を堪能したい』という人であれば、十分に楽しめるレベルの作品だと思います。
前作は、個人的には『特徴が無さ過ぎて微妙かなぁ…』という印象を受けたのですが、本作の方は色んな部分でパワーアップしており『バカバカしいながらも楽しめる』作品になった感じで、予想以上に楽しむ事が出来ましたよ。
前作が楽しめた人であれば本作も間違いなく楽しめると思いますが、前作を観て無くてもそこまで問題は無いと思いますので、とりあえず細かい理屈とかなしに『殺人鬼が大暴れする作品』を観たい人であれば、観ておいて損は無い一本だと思いますよ。