■■■「アンビュランス911」■■■
(30点/スラッシャー)
アメリカの片田舎にあるアッシュ・パイン・ロードは、ハメを外した若者たちが公道レースや危険運転を繰り返す事故の絶えない峠道で、更にこの道路では事故を起こした人間が車のみを残して姿を消すという奇妙な事件が相次いでいた。
優等生のエイミーは、ある日、この道路で起こった事故で親友のエンジェルを失うが、彼女が遊び人のグループであるブルックやジェイソンらとドライブに行っていた事をしったことから、彼女の死に何か秘密があるのではないかと疑いを抱くが…
救急隊員のふりをした殺人鬼が救急車で怪我人を誘拐して惨殺を繰り返すという、スラッシャーホラー映画。
タイトルを聞いた時に、一瞬「アンビュランス/地獄の殺人救急車」って昔のサスペンスホラー映画のリメイクか何かかと思ったのですが、特にそういう訳でもなく、ごく普通のスラッシャーホラー映画という感じのお話です。(あっちは、確か『救急車が実は臓器密売グループと裏でつながっており…』みたいな話だったはず。)
ケイン・ホッダー(ジェイソンの中の人)主演という事でパワフルなノリの話を期待したのですが、なんというか『悪い意味でツッコミどころが満載でイマイチなホラー映画』という印象。
お話としては、『事故で親友を失ったヒロインが事故を起こした同級生にアプローチをするんだけど、実はその事故には秘密があり… 一方そのころ殺人鬼たちは主人公たちとは別に勝手に暴れまわっており…』みたいな感じの展開。
序盤はなんとなくヒロインの親友の交通事故にまつわる感じでお話が進んでいくのかと思いきや、実は交通事故の話はどうでも良くて突然ヒロインの恋愛ドラマになって、その裏で勝手に殺人鬼たちが暴れているという感じで、色んな話が並行して進んでいくおかげでなんともゴチャゴチャしてて散漫な印象を受けるお話です。
特に序盤から中盤にかけての展開が物凄いグテグテで、並行してお話が進むのは良いのですがメインの話が進まなさ過ぎて観ていてイライラするレベルなのが困ったところ。
タイトルのとおりに殺人救急車がメインのお話なのかと思いきや、肝心の救急車殺人鬼の出番が殆ど無くて、ヒロインの恋愛ドラマとか物凄くどうでもいい話が中心となってストーリーが描かれるんですよね。
一応、終盤になると、この殺人鬼と主人公たちの過去にちょっとした繋がりがある事が判明してお話が繋がっていくのですが、その謎解き的なエピソードがどうでも良すぎる内容なのに加えて、それ以外にも本編にたいして関係のない脇道のお話が多すぎなんですよね…
しかも、その脇道の話が特に面白くも無いので、テンポの悪さばかりが目についてしまいます。
殺人鬼が暴れ出してお話が動き出した後はそこそこ観れる内容にはなってくるのですが、お話が動き出すまでが60分ぐらいあって、それまでは本筋とたいして関係のないヒロインの『親友の事故の話』とか『豊胸手術の話』とかをダラダラと見せられるのがハッキリ言ってちょっと苦痛でした。
というか『事故の話』はまだしも『豊胸手術の話』とか別に必要無かっただろ!!
肝心の殺人鬼が暴れ出してからの展開も、尺が短いせいでどうにも盛り上がりに欠けますし、せっかくのケイン・ホッダーの暴れっぷりも見せ場が少なくていま一つ…
ラストも『なんじゃソリャ?』って感じの酷い投げっぱなしオチですし、どうにも物足りなさばかりが残る作品でしたよ。
総評としましては、『色々と中途半端で盛り上がりに欠けるスラッシャーホラー映画』って感じの作品です。
特に本作ならではという見どころみたいなものも無いですし、敢えてオススメするような要素も無い感じかなあ?
よほどケイン・ホッダー氏のファンで、三度の飯よりも巨漢が大暴れするのを観るのが大好きというのでもなければ、普通にスルーしてしまって問題のない一本だと思いますよ。