■■■「ハロウィン II」■■■
(60点/スラッシャー)
幼少期のハロウィンの夜に家族を惨殺し、更に15年後に精神病棟から脱走して連続殺人を犯した殺人鬼であるマイケル・マイヤーズは、事件の唯一の生き残りである実の妹のローリーによって倒されて最期を迎える事によって全ての事件は解決したかに思われた。
しかし、完全に死亡したと思われていたマイケルは実はまだ死んではおらず、死体の輸送中に事故を起こした警察のバンから逃げ出した彼は、1年後のハロウィンの夜に再び妹の命を狙って彼女の元へと訪れようとするのだった…
白いデスマスク(ホントはライフマスクだけど)を被った殺人鬼『マイケル・マイヤーズ』の登場する「ハロウィン」のリメイク第二段に当たる、スラッシャーホラー映画。
監督は前作から引き続きロックミュージシャンでもあるロブ・ゾンビですが、最近はホラー映画の監督業もスッカリ板に付いてきた感じで、相変わらずのなかなかの完成度の高さです。
ストーリーに関しては前作の時点で既に結構なアレンジが施されていたので、続編に当たる本作は完全に新規の『オリジナル作品』と言っても良いような内容ですね。
といっても、映画として殆どマトモなストーリーは無くて、妹の居場所を目指すマイケル・マイヤーズが『淡々と犠牲者を殺害し続ける』といった感じの展開で、時折マイケルの主治医だった精神科医のエピソードが少し混ざる程度。
内容は薄いですが作品のテンポは良くて、殺害シーンの迫力や凝ったカメラ演出、加えて『2mを超える大男』というマイケルの存在感もあって、漫然と観ているだけでもそこそこ楽しい作品になっております。
この監督は、いちいち生傷とかの表現がエグかったり、殺害シーンの音がやたらとリアルで気持ち悪かったりして、『ホントに好き物だなぁ…』と感心させられますよ。
やはり、『ホラーを好きで撮ってる』ってのが一発で分かるような監督さんは、こういうシンプルな作品では良い仕事をしますなぁ。
ただ、本作からマイケルの母親のフラッシュバックのシーンとかみたいな、矢鱈と『ミュージッククリップ的なスタイリッシュな映像演出』が多用されるようになったのは、個人的には『どうかなぁ?』と思う部分でした。
もともとが音楽畑の監督なのでそういった手法が好きなのかもしれませんが、「ハロウィン」という作品とは今ひとつ映像のイメージが合って無い気も…
(オリジナルのカーペンター監督が、非常に泥臭い感じの映像を撮るのが得意な人なので…)
でも、この手のスラッシャーホラーにしては珍しく、『マイケルが何故に執拗に妹を追い回すのか』という事の動機付けが描かれてたのは、なかなか面白い演出だと思いました。
あと『殆どストーリーが無い』ことの弊害というか、全体的に展開が淡々としすぎてお話的に今ひとつ山場や盛り上がりに欠ける印象を受けたのは残念な部分かなぁ?
見せ場という意味での『殺害シーン』は盛りだくさんで良いんだけど…
またこれは個人的な好みですが、中盤の『マイケルのマスクが破れて顔が半分露出する』という演出は不要だった気がします。
やっぱ、こういうタイプの殺人鬼は『無表情で感情が全く分からない』状態の方が怖いですので。
(「エルム街の悪夢」のフレディみたいな『芝居がかった殺人鬼』は別ですが…)
総評としましては、良い意味でも悪い意味でも内容が無くて『深い事を考えずに楽しめるタイプのB級スラッシャー映画』って感じの作品ですね。
細かい事は気にせずに『とりあえず殺人鬼が大暴れする作品が観たい』という人ならば、ごく普通に楽しめる一本では無いかと思います。
ただ同監督がリメイクした前作を気に入った人であれば、本作も間違いなく観ておいて損は無いタイトルだとは思いますが、前作を見て無い人にはとりあえず前作から観る事をオススメします。
お話の繋がりという意味もあるのですが、個人的には『前作の方が面白かった』と感じましたので…