■■■「ザ・レイク」■■■
(60点/モンスター:結構オススメ)
2017年のタイの田園地帯では、巨大生物の目撃情報がウワサされ、謎の野生生物の襲撃による死亡事故が多発していた。
そんな矢先に湖の側で巨大なタマゴを発見したメイは、捨ててこいとおい家族の忠告を無視し、湖のほとりにタマゴを置いてその孵化を見守ろうとする。
しかし、その直後に村を半魚人のような正体不明の怪物が襲撃。
村が壊滅状態になってしまった事から地元の警察は対処に追われる事となるが、その怪物はやがてへ街へも出現し住民は大パニックに陥ってしまうのだった…
湖から正体不明の半魚人のような怪物が出現し、近隣の村や街が大パニックに陥っていく…という、タイ製のモンスターパニック映画。
一応、モンスター映画としていますが、どちらかというと『怪獣映画』というカテゴリーに入れてしまっても良い感じの内容の、なかなか大きなスケールでかなりシッカリと作られたモンスターパニック映画ですね。
お話としては『タイの田園地帯の湖で謎のタマゴが発見され、その直後から正体不明の怪物が出現し大暴れするようになり、近隣の村や町へとパニックが広がっていく』みたいな感じの展開。
登場する怪物は『尻尾の生えたトカゲ風の半魚人』みたいな姿で、どことなく『パトレイバーのWXIII(ウェイステッドサーティーン )』みたいなデザインと言えば、その手の作品が好きな人には分かりやすいかも?
怪物は人間サイズと巨大(ティラノザウルスみたいな)サイズが出現するのですが、いわゆるホラー映画的な怪物の小出し感や出し惜しみ感はあまりなく、人間との絡みも多くて画面狭しと大暴れしてくれるのはモンスター映画や怪獣映画好きには嬉しいところ。
特に「ジュラシックパーク」やら「USゴジラ」を髣髴(ほうふつ)とさせるような夜の街での怪物の襲撃シーンは、なかなかに迫力があって見応えがあります。
ただ、怪物は主にCGと着ぐるみで再現されているのですが、CGだと精悍な姿なのに着ぐるみになるとちょっとモッサリした感じになってしまうのはご愛敬といったところ。(笑)(まあでも、着ぐるみとしての完成度も結構高い方なんですが…)
また怪獣映画として映像や演出は完成度が高く申し分ない作りなのですが、ストーリーに関しては色々とツッコミどころが多い印象。
群像劇というほどではないものの主役となる登場人物が3組ぐらい登場して、あまり相互の絡みが無いままに最後までパラレルにお話が進んでいくため、お話の着地点や全体像が見えづらくてストーリーがちょっと分かり辛いです。
特に良く分からなかったのは『怪物に襲われて生き延びた若者が、怪物がダメージを追うと自分もダメージを受ける』という謎設定の部分で、この部分の説明があまりないため、どうにもグテグテ感が強くなってしまっている印象…
若者の怪物の妹(?)が巫女みたいな扱いになってたので、『古代のシャーマニズム的な世界観』を描きたかった(「ガメラ3」のリリスみたいな感じ?)んだとは思うのですが、最後まで結局なにが言いたいのか良く分からなかったので、この辺の設定は正直言って蛇足だった気がします。
ラストも『何だか分かったような良く分からないような終わり方』だったので、この辺は描きたいテーマのある部分ならテーマ性のある感じでシッカリとオチを着けて欲しかったですよ。
あと欲を言えば、街中に怪物が出現するシーンでは、もうちょっと派手な破壊表現とかがあった方が『怪獣映画』っぽさが増して良かったかも?
総評としましては、『意外と良く出来たタイ製のモンスターパニック映画』って感じですね。
不満点もあるものの見せ場や見どころも多くて、モンスター映画好きや怪獣映画好きであればなかなか楽しめる一本に仕上がっていると思います。
特に話題にもなっていませんが割と掘り出し物的な良作だと思うので、その手のジャンルが好きな人であれば普通にチェックしておいても損のない作品だと思いますよ。