■■■「新REC/レック デッド・ビギニング」■■■
(55点/オカルト)
2007年、心霊現象は高次元の存在との接触だと考えた科学者のニコールたちは、異次元転移するための装置を開発し高次元の存在と接触するための実験を行う。
その結果、彼らは恐るべき存在と接触してしまう…
2013年、新居に移住した若い夫婦のデヴィットとカレンは、新居で起こる不気味な現象の調査を依頼するため、超常現象の研究家であるカレンらのチームに調査を依頼。
時を同じく、レズビアンの女子大生のケイトリンとシンディは、チャットレディとしてショーを動画配信して生計を立てていたが、特別なショーを行う彼女たちの元で奇妙な現象が起こるようになり…
高次元の謎の存在との接触とそれによって引き起こされる恐怖の現象を描いた、モキュメンタリー風味のオカルトサスペンス映画。
「新REC」なんてタイトルが付いていてパッケージもそれっぽいデザインになっていますが、実際の中身の方は「REC」シリーズとは1ミクロンも関係のないお話です。
というか、そもそも作中にゾンビすら登場しないですし、『怪奇現象を記録した記録映像によるモキュメンタリー』という部分以外は類似点すら無いですので、なんでコレに「REC」というタイトルを冠して売り出そうとしたのか、流石にちょっと疑問を抱かざるを得ないレベル。(せめて『モキュメンタリー風のゾンビ映画』っていうのであれば、まだ理解できるのですが…)
ただ「新REC」というタイトルに疑問はあるものの、モキュメンタリー風味のホラー作品として観ると、そこまで悪くない印象の作品なんですよね。
お話としては、『超次元存在との接触を試みた科学者の実験に端を発して、次々と起こる怪奇現象を記録したテープ』を紹介していくという構成で、内容的にはオムニバス形式の短編ホラー集という感じの作品ですね。
超次元の存在との接触を描いた独特の世界観も面白いですし、『超次元の存在は我々とは時間の流れが違うため超高速度撮影のカメラにしか映らない』という個性的な設定やら、それっぽい超理論で世界観を補強しているのもなかなか良い感じ。
オムニバスの短編の内容も、オカルト風味やらサスペンス風味やら色々と趣向が凝らされており、それぞれにテイストや方向性が異なるため先が読めない感じの作りになっているのも良く出来ている印象。
それぞれの事件は小粒な感じなのですが、世界観がゆるく繋がっているような設定のお陰で、そこそこスケールの大きい話のような雰囲気を醸し出しているのも悪くありません。
またサスペンスとして割とシッカリと作られた前半に対して、終盤のエピソードが無駄にイキオイのあるパワフルな展開なのもバカバカしくて楽しいです。
ただ構成やら世界観やらは面白いのですが、基本的にどの話も低予算で映像やら演出がかなりショボ目なんですよね…
特に終盤で登場する『超次元の存在』みたいなのが、モロに着ぐるみ感ありまくりで、仮面ライダーの怪人ぐらいにしか見えないのは困りもので、お陰で作品全体が物凄く安っぽい印象になってしまっているのは残念なところ。
この辺は、見せ方にもう一工夫あっても良かったんじゃないかなぁ?
また、それぞれのオムニバス作品の繋がりもちょっと緩すぎで、関連性あまり明確でなくて分かりにくい部分が多いので、もうちょっと世界観に統一された部分があっても良かった気はしますよ…
総評としましては、低予算で安っぽい作品ではありますが『小粒ながらも悪くないテイストのオムニバス形式のオカルトホラー映画』って感じの作品です。
サクッと観られる短編ホラー的な作品が好きな人であれば、意外と楽しめる内容ではあると思いますので、TVシリーズの短編ホラー作品が好きな人とかならそこそこオススメできる1本という感じでしょう。
ただ「新REC」というタイトルに釣られて、「REC」シリーズの新作やらそれに類するテイストの作品に期待して観た場合は、肩透かしどころではないレベルで失望してしまう恐れがあるので、それに関しては注意が必要ですね。(ゾンビすら出てこないのは流石に問題かと…)