■■■「マスターズ・オブ・ホラー」■■■
(55点/オムニバスホラー)
(55点/オムニバスホラー)
ある日、恋人のジェイソンとケンカしたサマンサは、不満を抱きながら街をあるいている最中に人気のない寂れた映画館を発見。
その映画館では「森の中の怪物」という主演女優に彼女の名前が書かれた奇妙な映画が上映されていた。
何かに導かれるようにふらふらと映画館に入り込むと、劇場には彼女の他には誰も居ない状態で、更に劇場の画面には森の中で殺人鬼から逃げ惑う彼女自身の姿が映し出されており…
ジョー・ダンテ、デヴィッド・スレイド、北村龍平、アレハンドロ・ブルゲス、ミック・ギャリスといった5人の有名ホラー映画監督たちが、『運命に導かれた人が訪れる不思議な映画館』を舞台に連作形式のショートホラーストーリーを綴るという、オムニバス形式の短編ホラー映画集。
今から十数年前に、ホラーの名監督を集めて各位に自由に短編ホラー作品を作ってもらうという「マスターズ・オブ・ホラー」という企画があったのですが、それと同じタイトルが付いているので『その企画が再起動されたのか?』と思いきや、そういう訳では無くて別の企画もののオムニバスホラー集みたいな作品ですね。
ただ十数年前の企画も本作も、どちらもミック・ギャリス監督が主導で監督を集めてシリーズを展開した企画なので、実際のところ『姉妹シリーズ』と呼んでも問題ないような作品かも?
(ちなみに本作の原題は「Nightmare Cinema」)
お話はオムニバス形式であるため、作品の質に多少のバラつきはあるものの、尺が短めな事もあってどれも非常にテンポが良く楽しめる内容になっているのは良いですね。
また、長編映画では出来ないような『一発ネタ企画』的なノリの作品もあったりして、色んな意味で各タイトルに見どころが多いのも良い感じです。
中でも、ジョー・ダンテ監督の作品(美容整形手術の話)は、変化球的な要素はそこまで無いものの流石はベテランという感じのお話のまとめ方で、安定した佳作という印象。
ミック・ギャリス監督(臨死体験の少年の話)も、長編ではややグダる事があるものの短編だと非常にコンパクトにストーリーや見せ場が良くまとまっており、なかなか良い感じ。
他の監督の作品も、無駄にパワフルだったり理不尽的な展開だったりと、非常に個性の強い変化球的なネタが多くて、色んな意味で面白かったです。
ちなみに個人的に5本の中では、アレハンドロ・ブルゲス監督の作品(森の中の殺人鬼の話)の、無駄に高いテンションと異常な展開の速さがバカバカしくて好みだったかなぁ?
ただ総じて面白かったのですが、オムニバスで一本の尺が短い事もあって、全体的にやや『食い足りない印象』を受ける部分があるのは致し方ないところですかねぇ…
総評としましては、小粒ながらもなかなか個性的な作品が集まった『色んな意味で面白いオムニバスホラー映画』という感じの作品集ですね。
オムニバス故の物足りなさもあるものの、どの作品もそこそこ楽しめるクオリティにはなっているので、オムニバスホラーとか短編ホラー的なノリの作品が好きであればチェックしてみても良いかもしれません。
参加している監督に興味があったり気になっている場合は、とりあえず観ておいて損は無い一本だと思いますよ。
(特にジョー・ダンテ監督なんか、次はいつホラー作品を撮ってくれるか分からないようなレベルですし…)