■■■「ザ・ホール」■■■
(55点/アドベンチャー)
NYのブルックリンからベンソンヴィルという郊外の田舎町に引っ越してきたトンプソン一家は、引越しの翌日に自宅の地下室に『いくつもの鍵で厳重に封印された奇妙な落とし戸』を発見する。
ルーカスとデーンの兄弟は好奇心から『落とし戸』の鍵を外して扉を開けてみたところ、そこには『底の見えない真っ暗な縦穴』が空いており、ただただ闇が広がっているばかりだった。
彼らは隣人のジェーンと共にその縦穴の奥をなんとかして確認しよう試行錯誤するものの、どうしても確認することが出来ずに徒労に終わってしまうが、その翌日から彼らの周りで奇妙な現象が起こるようになり…
とある一家が引っ越し先の地下室で奇妙な『縦穴』を発見した事を発端に不思議な現象に巻き込まれるという、ホラー風味のアドベンチャー映画。
ホラーやSFが好きな人ならば「グレムリン」やら「ハウリング」でお馴染みの、ジョー・ダンテ監督による新作映画と言えば気になる人も多いかも?
お話の内容はいわゆるホラー風味の冒険映画といった感じで、どちらかというと低年齢層向けというかファミリー向けといったテイストの作品です。
『ホラーなのにファミリー向けって何だよ?』と思うかもしれませんが、「グレムリン」なんてファミリー向けにコメディ的な要素もあれど、内容的にはホラーみたいなものですから、まあそういったノリの作品という感じですね。
ストーリーとしては『謎の縦穴に隠された秘密はいったい何なのか』という感じの謎解きをメインにお話が展開していく訳ですが、ストーリーのプロットの組み立て方、手がかりの提示の仕方なんかが非常に上手いのには、流石はジョー・ダンテという感じで感心させられます。
主役の3人の少年少女のキャラクターも良く立っており、子供たちの『心の成長の物語』的な分かりやすい作品の方向性も好感触。
ただ肝心の『縦穴の秘密』に関する部分が、どうにも地味な内容で面白味に欠けるのは残念なところ。
あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので詳しい内容は割愛しますが、モンスターが登場するような展開もありませんし、そこまで危機感を煽るような展開や演出も無いですので今ひとつ緊張感に欠けます。
また『縦穴』の秘密が明かされるのもストーリーのがかなり終盤に入ってからなので、序盤~中盤の展開が冗長に感じてしまいちょっとイライラしてしまうかも?
『縦穴の中の世界』の演出や描写とかなかなか面白い部分もあるのですが、やっぱり全体的に見せ場が少なすぎるのが難点かなぁ…
もうちょっと『奇妙な現象』に派手さやバリエーションがあれば、もっと面白い映画になってたと思うので残念なところですよ。
ジョー・ダンテという大御所が監督してる割にはあんまり話題にもならなかったですし、やっぱり内容がやたらと地味なのは低予算ムービーだからなのかなぁ?
総評としましては、お話そのものは割と面白いとは思うのですが『ちょっと地味で物足りなさを感じる作品』といった感じですね。
基本はファミリー向けの作品ですし低予算らしくインパクトにも欠ける内容ですので、『ウチのブログでいつも取り上げてるような映画』が好きな人には薦めにくいタイプの作品ではありますが、決してツマんない訳では無いので観ておいても後悔するような映画ではありませんよ。
まあ久々のジョー・ダンテ監督の新作ですし、とりあえず『監督のファンであればチェックしておいても、そこまで損はしない作品』といったところかなぁ…
個人的には「マスターズ・オブ・ホラー2」で見せてくれたような『クセのあるホラー映画』をまた撮ってくれないかなぁ…という気持ちも強いですけどね。