■■■「ダーク・フェアリー」■■■
(55点/モンスター)
内気な少女のサリーである、ブラックウッド両親の再婚の事情によりロードアイランドという田舎町にある大きな古い屋敷へと引っ越してくる事となる。
屋敷の奥に隠された奇妙な地下室を発見した彼女は家族と共にその場所の封印を解くが、その場所にあるボルト留めされたカマドのような縦穴の奥から彼女を呼ぶ奇妙な声を聞く。
新しい生活に馴染めない彼女は、地下から聞こえる『友達になろう』という声に従って縦穴の蓋に止められていたボルトを外すが、それ以降、屋敷の中に不気味な小人のような怪物が現れるようになり…
古い屋敷の封印された地下室から邪悪な妖精の群れが出現して人間を襲うという、ギレルモ・デル・トロ製作によるモンスターホラー映画。
なんでも本作は、73年に作られたTV映画である「地下室の魔物」という映画のリメイク作品だそうですが、自分は残念ながらオリジナル版を見た事が無いので違いとかは良く分かりません。
ストーリーとしては、女の子の好奇心のせいて地下室から『邪悪な妖精』の群れが解き放たれてしまうんだけど、大人たちは子供の虚言だと思って妖精の存在を信じてくれず…といった感じの内容で、モンスターホラーというよりもどちらかというとダークファンタジーに近いノリのお話かな?
本作に登場する妖精は、いわゆる「トゥース・フェアリー」(枕の下に抜けた歯を置いておくとコインと交換してくれるが、その姿を見るとさらわれてしまう)で、見た目はグレムリンというか小さいゴブリンみたいな印象で、コイツらが虫のようにワラワラと動き回る姿はなかなか不気味。
ただ、基本的に『主人公の少女をさらおうとする』だけで、色々とちょっかいは出して来るんだけど実力行使で凶悪な事件を起こしたりしてくる訳でもなく、体が小さいなりに『見た目どおりの体力や攻撃力』しか無くて、そこまで派手な展開も無いためにホラーとして見ると今ひとつ盛り上がりに欠ける印象ですね。
デル・トロ監督が関わっているだけあって、美術デザインやらのセンスが非常に良くて『本当に妖精が出そうな深い森や古びた屋敷』なんかの雰囲気は抜群で、ホラーやサスペンスというよりも『雰囲気映画』としてはなかなか秀逸な感じ。
ストーリーのテーマとして、『新しい母親に馴染めない娘と家族の絆の再生』みたいなのがあって、終盤はちょっと『良い話』っぽい感じの展開になるのですが…
その割には、あの『急に雰囲気の変わるラストのオチはいかがなものか…』と思いきや、どうもオチはオリジナル版に準拠してるようですね。
(というかオリジナル版は屋敷に引っ越してきた夫婦の話で、そもそも『娘』が登場しないっぽい。)
いや、そこまで改変したんだったら、オチももうちょっと改変しても良かったんじゃないかなぁ…
総評としましては、美術デザインやモンスターデザイン、雰囲気の良さやといった見所は割とあるのですが、お話としては『今ひとつ盛り上がりに欠ける印象のモンスター映画』といった感じですね。
デル・トロ監督が関わっているらしい『センスの良さ』は随所に感じられますので、氏の作品でも「クロノス」とか「パンズ・ラビリンス」とかが好きだったり、雰囲気映画とかが好きならばチェックしておいても損は無いでしょう。
個人的には、デル・トロ監督作品は『雰囲気の良さ』と『エグさ』が共存しているところが最大の魅力だと思っているので、雰囲気だけじゃなくてもうちょっと『エグい部分』が多くても良かったんじゃないかなぁ…って感じで、ちょっと物足りなさを感じる作品でしたよ。