■■■「ゾンビランド:ダブルタップ」■■■
(55点/モンスター)
(55点/モンスター)
2009年のゾンビウィルスのパンデミックから10年。
ソンビの襲撃による文明崩壊を生き延びたコロンバスは、『ゾンビ世界で生き残るための32のルール』を『73のルール』にアップグレードし、仲間のタラハシー、ウィチタ、リトルロックらと共に、ホワイトハウスの跡地に居を構えてゾンビの襲撃から生き延びていた。
ウィチタと恋人となったコロンバスは、ある日、彼女に結婚を迫るが、パニクった彼女は妹のリトルロックを連れてどこかに逃げ出してしまう。
そして一カ月後、唐突に彼らの元に帰ってきたウィチタはら、『リトルロックが旅の途中で出会ったミュージシャンのバークレーと一緒に失踪してしまったことから、彼女を探すのを手伝って欲しい』と相談を受けるが、そのころ巷には『殺しても死なない突然変異の新型ゾンビ』が出現しつつあった。
ゾンビの蔓延する世界での『生き残りルール』を描いた「ゾンビランド」の後日談にあたる、コメディ風味のモンスターホラー映画。
「ショーン・オブ・ザ・デッド」と並んで、コメディ系ゾンビ映画の流行の走りとなった「ゾンビランド」の続編で、メタフィクション的な切り口の『ゾンビ世界で生き残るためのルール』みたいなネタやら、個性的な主人公たちの軽妙やりとりで魅力の作品ですね。
お話としては『ゾンビのせいで文明が崩壊した世界』である前作の10年後という設定で、前作から続投した主人公たち4人のゾンビ世界での生活が題材となっています。
前作は『ゾンビ世界の様相を描きつつ旅をしていく』というロードムービー的なノリのお話でしたが、世界の描写はおおむね前作で済んでいるので本作では主人公たちのキャラのやり取りやら駆け引きのドラマがメインという感じ。
一応、本作でも行方不明の仲間を探して旅をして、新たなキャラやコミュニティなんかと出会ってみたり…といった感じでロードムービー的な要素もあるのですが、流石に前作ほどの新鮮味はなくてやや物足りなさを感じてしまいます。
メインとなる主人公たちの恋模様やら内ゲバ的な要素やらが、ちょっとダラダラした印象で、全体的にテンポが悪い感じになってしまっているのは残念なところですかね?
また本作で登場する新キャラは、殆どのキャラが何か『ネタに走り過ぎている』感があるのですが、その割にはネタとしてもそこまで笑える内容にもなっておらずに、いまひとつ魅力が感じられない雰囲気なのは残念なところ。
(特に非暴力主義者のコミュニティは『ゾンビに非暴力とか通じんだろ』って感じで、何で存続できているのか謎なレベル…)
しかし新キャラはイマイチなメンツが多いものの、主人公たちの4人は相変わらず魅力的ですし、ゾンビたちとの戦闘なんかも退屈しない程度に適度に描かれていますし、ラストの展開もなかなか熱かったりと、今回も全体的に『テンポ良く楽しめるゾンビ映画』として仕上がっているのは好感触といったところ。
ただ、大仰に登場した『新型ゾンビ』にあんまり出番が無くて、ちょっと影が薄い印象だったのは残念なところかなぁ?(むしろゾンビよりも『ウザい人間の新キャラ』の印象ばかり残ってしまうような内容。)
もうちょっとガッツリと派手に『新型ゾンビ』との戦闘とかも描いて欲しかったところですよ…
総評としましては、若干の物足りなさもあるものの『安定して楽しめるコメディ風味のゾンビものロードムービー』といった感じの作品ですね。
前作に比べると新鮮味は薄くてやや惰性感のある内容ではありますが、ゾンビ映画としての完成度は決して低くはないので、コメディ系のゾンビ映画が好きな人であれば、今回もまあまあ楽しめるレベルだと言えるでしょう。
前作が好きな人とか気になっている人であれば、普通にチェックしておいて損はない一本だと思いますよ。