■■■「アメリカン・ゾンビランド」■■■
(45点/モンスター)
テキサス州の小さな田舎町コーシカナに住むゾンビ映画マニアのサムは、オリジナルのゾンビ映画を撮影して映画祭へと応募。
事務局から手紙を受け取った彼は、てっきり入賞したと勘違いして盛大にパーティを開催するが、実は落選したうえにコキ降ろされて酷評されていた事が判明する。
パーティの最中に友人たちに真実を知られてしまった彼は、一転して負け犬のレッテルを貼られる事になってしまうことに…
自暴自棄になって泥酔した彼は翌朝ふらふらになりつつも友人たちと共に仕事に出かけたところ、街の様子がどこかおかしく街にゾンビが溢れかえっている事に気づく。
異常事態に衝撃を受けつつも『本物のゾンビを使ってゾンビ映画を撮る』ことを思いついた彼は、仲間と共に『無害そうなゾンビ』を集めて撮影を開始する事となるが…
ゾンビ映画オタクの主人公が街にゾンビが出現したのを契機に『本物のゾンビを使ったゾンビ映画』の撮影を画策する…という、コメディテイストのモンスターホラー映画。
『実際のゾンビを使ってゾンビ映画を撮ってしまおう』という設定からも分かる通りに、いわゆるブラックユーモア系のソンビ映画って感じの作品ですね。
ゾンビ映画はモンスター映画のなかでも、特にこういったコメディ系のタイトルが多いジャンルですが、同じジャンルの「ショーン・オブ・ザ・デッド」とかをリスペクトしたようなシーンがあったりするのは、なかなか良いですね。
ジャンルとしては、基本的にはブラックジョーク系のネタと下ネタが多めのパロディ作品という印象で、全体的に下ネタが多め+映画ネタ(業界ネタ)+政治ネタといった構成で、ジョークとパロディのごった煮的な作品という印象。
動きの遅いデブや老人や障がい者のゾンビを集めて『安全にリアルなゾンビ映画を撮ろう』というブラックな設定はなかなか面白いですし、ソンビを脱がせてお色気シーンを撮ろうとしてみたりとかの『いかにもB級ホラーらしい狙った演出』なんかがあったりする辺りも、ソンビ映画のパロディとしてはなかなかパンチが効いてて良い感じ。
また主人公の撮る『超低予算ゾンビ映画』のパロディも、いかにもZ級作品にありそうな悪乗り具合で、妙にリアリティがあって笑わせてくれます。
ゾンビ化の原因も、単純に『謎のウイスルのせい』とかじゃなくて、意外なオチが仕込まれているのも悪くない印象。
と言った感じで要所要所に面白い部分はあるのですが、本作が『ゾンビ映画として面白いか』と言われると、やや微妙なところなのが困りもの…
パロディとかで色々とネタが詰め込まれているのは良いのですが、大量にネタを詰め込んでいるせいで、全体的にとっ散らかってしまった印象が強くて、一つ一つのネタのインパクトが薄く全体で観るとどうにも『印象に残らない映画』になってしまっているんですよね。
また主人公たちのキャラの個性が弱くて、キャラに好感が持てずに感情移入できないせいもあって、お話の流れがいまひとつ見えづらくなってしまっているのも残念なところ。
あと、下ネタでやたらと『放屁の音』を聞かされ続けるのも、正直言ってちょっと不快でしたよ…(小学生じゃないんだから、延々とオナラの音を聞かされても別に面白くもないっての…)
オチもちょっとご都合主義すぎる雰囲気があったので、ここまでブラックなパロディにこだわるなら、もうちょっと捻りの効いた終わり方でも良かった気もしますよ。
総評としましては、どうにもとっ散らかった印象の『パロディ要素強めのゾンビものモンスターホラー映画』って感じですね。
ピンポイントでは面白いネタやら要素もあるのですが、全体で観るといまひとつ盛り上がりに欠けるB級コメディ系ゾンビ映画というのが正直な感想です。
そういったジャンルが好きで、ネタとか方向性とかに興味があるのであれば観るのを止める事はしませんが、敢えて推すかと言われると悩ましいところですので、まあ『お好みで…』といった感じでしょうか?