■■■「デビルズ・ソナタ」■■■
(60点/オカルト)
(60点/オカルト)
天才として将来を期待される若手バイオリニストのローズは、ある日、唐突に赤ちゃんの頃に生き別れとなった父が他界した事を知らされる。
父はかつて天才と呼ばれ一世を風靡しながらも、突然姿を消して隠棲したという作曲家のマーロウであった事から、ローズは彼の遺産を整理するためにフランスの片田舎にある巨大な古びた屋敷へと赴くこととなるが、その場所で父が死ぬ間際に作ったと思われる「バイオリンソナタ 作品54」と書かれた楽譜を発見。
楽譜のところどころに記された奇妙な『シンボル』のようなものと、楽譜の内容に違和感を感じた彼女は、マネージャーであるマーロウに協力を依頼して楽譜に秘められた楽譜に秘められた謎の調査を開始するが、謎のシンボルは魔術的な意味を持つものだと判明。
それとともに、彼女の周りでは不気味な現象が起こるようになっていき、やがて楽譜に秘められた恐るべき秘密が明らかになるが…
若きバイオリニストが亡くなった天才作曲家のだった父の遺作を発見するが、それは恐るべき秘密の秘められた呪われた楽曲だった…という感じの、フランス製のオカルトサスペンス映画。
特に話題にもなっておらず高い評価も聞かない作品ですが、なかなかどうして意外と良く出来たオカルト作品でした。
お話としては、『若きバイオリニストが、幼いころに疎遠となり半ば憎んでいた天才作曲家の父が他界したため、その遺品を整理するために父の実家に訪れるんだけど、そこで父の遺作となる楽譜を発見。楽譜に書かれた「謎のシンボル」に違和感を感じたことから、楽譜に隠された秘密を解き明かそうとするが…』みたいな感じの展開。
お話としては、謎解きメインのオカルトサスペンスという感じなんだけど、この『手がかりの提示』と『謎解き』の流れが違和感なく良く出来ており、『徐々に明らかになっていく恐るべき真実』というテイストが上手く表現されています。
派手な展開は殆ど無いですが、謎解きがシッカリと作られているのに加えて、主人公と亡くなった父親の確執やら、主人公とマネージャーの関係性やらといったの人間ドラマ部分がシッカリと描かれているので、あまり退屈せずにお話を楽しめる構成になっているのも良い感じ。
終盤の急転直下的なホラー要素も意外と怖いですし、ホラーとしても意外と悪くない印象です。
また登場人物は少ないものの、キャラクターの掘り下げが非常に良く行われており、キャラがきちんと立っているのに加えて、主人公がなかなかの美少女なのも良い感じですし、亡くなった父の役のルトガー・ハウアーの存在感も良い味を出しています。
ただ悪くない部分も多いのですが、先述のとおり全体的に派手さのない地味な内容で、やや盛り上がりに欠けるのは残念なところ…
お話そのものは面白いのですが、これといった見せ場となるような部分がほとんど無いので、作品としていま一つ印象に残らないんですよね。
古い巨大なお屋敷が舞台の割にはビジュアル的な演出も控えめで、幽霊屋敷的な雰囲気映画としても弱いですし、もうちょっと作品として印象に残るような特徴があればなぁ…というのが正直なところ。
ラストも矢鱈と唐突な安っぽい展開でちょっと盛り上がりに欠ける印象ですし、後をひく怖さを出すような演出がもうひと捻りぐらいあっても良かったんじゃないかなぁ?
総評としましては、なかなかよく出来た『佳作レベルのオカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。
やや地味な内容ながらも、全体的にシッカリと作られていて見どころも多い映画という印象の一本でしたよ。
作品としては普通に面白い内容だと思うので、オカルトサスペンス系の作品が好きで、気になっているのであればチェックしておいて損はない映画だと思いますよ。