■■■「ブラック・クローラー -殺戮領域-」■■■
(8点/生物パニック)
1945年、ビルマ沖のラムリー島。
イギリス軍の偵察部隊であるハリスたち4人は、島に隠蔽された日本軍の補給基地を発見するために偵察任務に訪れる。
沿岸沿いに偵察を行う彼らだったが隠密行動の途中で日本兵に遭遇。
敵兵を殺してしまった彼らは、本格的な交戦を避けて敵兵から逃れるために島の中央の湿地帯を横断する事となる。
しかしその場所は獰猛なイリエワニの生息地域で、彼らの仲間は一人また一人とワニの犠牲になっていき…
日本軍基地を探してビルマ沖の無人島に偵察に訪れたイギリス軍の兵士たちが、湿地帯で狂暴なワニの群れに遭遇する…という、戦争物風味の生物パニック映画。
タイトルに「ブラック・クローラー」という「ブラック・ウオーター」シリーズの続編っぽいタイトルが付いていますが、部隊がオーストラリアでも無いですし設定も似ても似つかないような話なので、当然のように全く関係のない(というか共通点すらほとんどない)作品です。
(一応は『湿地帯が舞台のクロコダイル映画』という一点のみの共通点はありますが…)
ちなみに、この手のB級映画を大量に観ていると『イマイチな映画』にはしょっちゅう遭遇するものの、本作はその中でも滅多に遭遇しない『ビックリするほどツマんない映画』に該当する作品でしたよ。
お話としては、『ビルマ沖の無人島に日本軍の基地を探すために偵察に訪れたイギリス軍の偵察部隊が、敵との交戦を避けるために湿地帯に入り込んだところ狂暴なワニの群れに襲われる』という感じのお話。
一応は『戦争映画』兼『生物パニック映画』という設定ではあるものの、戦争映画らしいアクション要素なんかは殆どありません。(交戦シーンはあるものの全編中で2分ぐらい…)
かといって『生物パニック映画』の要素が強いかと言われるとそちらも殆ど見せ場が無くて、全体を通してとにかく恐ろしいほど退屈な映画です。
肝心のお話の中身の方としては『イギリス軍の偵察部隊が、日本軍の目を逃れるためにジャングルの中を逃亡しつつ日本軍の補給基地を探す』みたいな展開なのですが、交戦シーンもワニの出現シーンも殆ど無くて、大半のシーンは『兵士たちが無駄口を叩きながらジャングルの中をダラダラと移動している』というただそれだけの内容。
ワニの出現シーンは『実際のワニの実写映像』となっているのですが、この映像が『湿地帯で適当に撮影されたワニの映像が本編中に切り貼りされているだけ』だと思われるため、本編との親和性とか殆どなくて臨場感とかは全くありません。
更に数少ないワニの襲撃シーンは『複数のカットを組み合わせた襲撃のイメージ映像』みたいな感じになっており、人間との絡みも無くて迫力は一切なし…
というか、そもそも偵察チームのメンバーが4人しか居ないので、ワニの襲撃シーンも数える程度しかないという体たらくです。
生物パニックの部分がツマんなくてもドラマ部分が面白ければ救いがあるのですが、先述のとおり戦争映画要素も極薄なうえ、登場するキャラクターにも全く魅力が感じられないんですよね。
特に主人公は主人公とは思えないぐらいに自己中心的で性格が悪くて、観ていて『腹が立つレベルで嫌な奴』なのは困りもの。
あまりに性格の悪いキャラなので、最初は『減らず口を叩いて一番最初にワニに食われる要員』なのかと真剣に思っていたレベル。
(ラスト付近でちょっとだけ『キャラクターの素性』が語られるものの、それを加味しても嫌な奴度はほぼ変わらないので、もうちょっとマシな性格には出来なかったのかと…)
また盛大なネタバレになるものの、この映画をネタバレされて困る人が居るとも思えないので書いてしまいますが、ラストも殆ど何の盛り上がりも無いままに主人公たちがワニに食われて終わりという、『なんのこっちゃ?』というような酷い終わり方。
(一応は『主人公たちの行動が後に戦局を左右した』みたいなオチなので、全く救いが無くはないんですが…)
割とガチに誉めるところも楽しめる部分も全く見当たらないような内容で、久々に『途中で再生停止ボタンを押す』のを我慢する事に鉄の意志が必要な、自分の我慢の限界を試されているのかと思うような映画でしたよ…
総評としましては、冒頭でも書いたとおり『ビックリするほどツマんない戦争風味の生物パニック映画』って感じの作品です。
戦争映画好きの人にも生物パニック映画好きの人にも、微塵たりともオススメするような要素がありませんし、ガチでツマらなさすぎて笑えるような部分も無く『ネタ映画としても楽しむ事ができない』のでクソ映画好きにもオススメできません。
世の中には80分をもっと有意義に過ごす方法はいくらでもあるので、時間を無駄にしたくないなら他を当たってください…としか言いようが無いような一本でしたよ。