■■■「BECKY/ベッキー」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
一年前に母親を失った13歳の少女ベッキーは、いまだにそのショックから立ち直れずにいた。
そんなある日、彼女は父親の再婚予定の相手であるケイラとその連れ子と共に思い出の湖畔の別荘で過ごす事となるが、新しい母親と馴染めない彼女は別荘から一人で飛び出して行ってしまう。
しかし、その直後に彼らの別荘を4人組の脱獄囚が襲撃。
父親たち3人を人質に立てこもってしまった事を知った彼女は、なんとかして助けを呼んで父親たちを救出しようと試みるが…
13歳の反抗期の少女ベッキーが、別荘に侵入し父親たちを人質に取った4人組の凶悪な脱獄犯とバトルを繰り広げる…という、バイオレンスアクション風味のサスペンススリラー映画。
いわゆる『ホームインベージョンもの』系のスリラー映画なのですが、なかなかに良く出来たアクション寄りのスリラー作品となっています。
お話としては、基本的には『少女と4人の脱獄犯のバトル』を中心に物語が進んでいく訳ですが、少女が脱獄犯たちと戦う事となる動機が実に『13歳の少女らしい動機』なのが良く出来ています。
また、戦闘訓練も何も受けてない少女が『子供らしい戦い方』で脱獄囚と戦っていく様子が、『非現実的じゃないレベル』でリアルに描かれているのも良い感じで、『脱獄犯たちがマヌケすぎる印象』や『少女が強すぎる印象』を感じさせない作りになっている辺りも含めて、非常に製作者のバランス感覚の良さを感じさせてくれます。
加えて『子供が主役』という事から、割とヌルい感じのアクション映画になるのかと思いきや、かなり過激なバイオレンス描写で暴力シーンが描かれており、むしろグロ描写とかが結構激しくて『えっ、これ大丈夫なの?』とちょっと驚かされてしまいましたよ。
主人公と脱獄囚たちのキャラも良く立っており、どちらも結構魅力的なキャラとして描かれているのも悪くない印象。
脱獄囚たちが実はネオナチの残党で、ちょっとした秘密を持っていたりする辺りもお話のアクセントとして上手く作用しており、なかなか面白い設定という感じ。
ただ面白い作品なのですが、13歳の少女が主人公なだけあってアクション要素なんかはちょっと控え目で、アクション映画として観るとちょっと物足りない部分があるんですよね。
またサクサクとお話が進むのは良いのですが、全体的に尺が短めなのもあって映画そのものがサクっと終わってしまった印象があったのは残念なところ。
あと、母親の再婚相手と連れ子はメインキャラの割には物凄く影が薄かったので、もうちょっと出番があっても良かった気がしますよ…
オチの落としどころも、ちょっと捻りが効いてて個人的には悪くない感じなのですが、人によってはちょっと中途半端な印象を抱いてしまう人が居そうなのは、若干気になる部分かもしれません。
総評としましては、『なかなか良く出来たホームインベージョン系のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
『13歳の少女が脱獄囚たちと血みどろバトルを繰り広げる』という設定に興味が湧いた場合は、普通にチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。
ただバイオレンス描写がかなり過激で結構エグいシーンとかが多いので、そういうのが苦手な人はちょっと気を付けた方が良い作品かもしれませんよ。