■■■「サメストーカー・リターンズ」■■■
(55点/サスペンス)
海洋生物学者を目指す学生のコートニーは、友人たちと共に夜の海の灯台付近で遊んでいたところ、突然サメの襲撃を受けて危機一髪のところをデビッドと名乗る青年に救われる。
デビッドが無人島の灯台でサメの研究をしている研究員だと知った彼女は、海洋生物に詳しくどこか陰のあるイケメンである彼に惹かれ徐々に親しくなっていく。
しかし、コートニーの父親であるブランデンは、彼の態度にどこか不審なものを感じ取り身辺の調査を開始したところ、驚くべき事実が判明し…
サメを飼いならす連続ストーカー殺人鬼である「サメストーカー」の恐怖を描いた、サスペンススリラー映画のシリーズ第3弾。
第二弾は続編といいつつも「サメストーカー」の誕生秘話に当たる前日譚のような内容だったのですが、第3弾は普通に1作目の続きに当たる内容のお話になっています。
お話としては1作目のラストをなんとか生き延びていたストーカー男が、別の町に訪れてまた『理想の恋人』を求めて行動を開始する…
みたいな感じの展開で、基本的なプロットは1~2作目とそこまで大きな変化は無い印象。
ただ今回は女性の側からストーカー男にアプローチをかける展開だったり、ストーカー男に『初恋の女性コンプレックス』に加えて『重度のマザコン(というか家族コンプレックス)』みたいな設定が追加されていたりして、退屈させないように色々と変化を持たせようとしている努力が観られます。
しかし残念なことには、その試みが成功しているかと言われると微妙なところ…
妙に捻った『今までと違うお話の流れ』を意識したせいか、序盤の展開にややグテグテ感があって、ちょっとテンポの悪さを感じてしまいます。
また、『ヒロイン側からストーカー男にアプローチをかける』みたいな流れのため、いまひとつヒロインへの『哀れな犠牲者』的な同情が感じられにくく、ちょっと感情移入しにくい作りになっているのは気になるところ。
主人公の周辺の友人や家族のキャラの個性の掘り下げも、前作に比べるといま一つな感じでやや薄さを感じてしまいます。(ヒロインの友人のレズビアン設定とか、本編に全く活かされてないし蛇足だったのでは…(単にジェンダー問題に配慮しただけ?))
中盤以降の展開も、ちょっと『そんな犯人の都合よく物事が運ばんだろ?』とツッコミを入れたくなるような部分があって、全体的に無理のある流れが多いのも気になるところ。
ただややネタバレになってしまいますが、ストーカー男の変態性はかなりパワーアップしており、家族へと以上に執着するあまりに母親の死体を冷蔵保存していたり、犠牲者の殺害方法も容赦が無かったりと、キチ●イ度や付きまとい度のエグさが増して、旧作よりもだいぶ恐ろしいキャラになっているのは良い感じ。
もはや『サスペンス映画のストーカー』というよりも『スラッシャーホラーの殺人鬼』のような雰囲気になってしまっているのは、いかにも『この手の映画のシリーズ3作目の大幅パワーアップ』という感じで楽しませてくれます。
特に終盤のクレイジーっぷりとか、お話の盛り上がり具合はなかなか良い感じだったので、もういっそサスペンスよりもシリアルキラーもののスラッシャーホラー映画として描いてくれた方が良かったかも?
あと、相変わらずサメ要素はオマケ程度だったので、もし続編を作るならばもっと殺人鬼のクレイジーっぷりとサメの活躍をガッツリと描いて欲しいところですよ。
総評としましては、順当なパワーアップを図られてて『そこそこ楽しめる内容のシリーズ三作目のサスペンススリラー映画』って感じですね。
1~2作目が気に入った人であれば、本作もチェックしておいても損は無いと思いますが、ややマンネリ感があるのでそこまで強く推すにはちょっと弱いかなぁ…
2作目の完成度が割と高かったこともあって、個人的にはちょっと物足りない部分もありましたが、色々と新要素やパワーアップを模索しているのが感じられるので悪くない印象の作品ではありましたよ。