NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スリー・フロム・ヘル」(45点/アクション)

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■■■「スリー・フロム・ヘル」■■■
(45点/アクション)


 連続殺人鬼として知られる殺戮一家のスポールディング、オーティス、ベイビーらの3人は、包囲された警官隊から何十発もの弾丸を浴びせられながらも奇跡的に生存。


 傷から回復した彼らは裁判で死刑を求刑されて、死刑囚として刑務所に捕らえられていた。


 3人のうち、長男のスポールディングは予定通りに死刑が執行されるが、オーティスとベイビーは、腹違いの兄弟であるフォクシーの手引きによって刑務所長らを殺害して脱獄。


 メキシコへと向かって警察の追跡から逃れた彼らだったが、彼らに恨みを持つ地元のギャングが3人が町に訪れた事に気づき…

 


 マーダー・ライド・ショー」の殺人一家が、刑務所から脱獄しメキシコへと逃走して大騒動と殺戮ショーを繰り広げる…という、バイオレンスホラー映画。


 ロブ・ゾンビ監督のマーダー・ライド・ショー」、「デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2」に続く、シリーズ第三弾となる新作ですね。


 ロブ・ゾンビといえば、割と基本を押さえた感じのスラッシャーホラー映画を撮る監督という印象だったので、本作も今までのシリーズと同様に『殺戮一家』の暴れ回る基本に忠実なスラッシャーホラーになるかと思いきや、今までとは結構毛色が違う感じのノリになっています。


 お話としては、『死刑を求刑されて刑務所に入れられた「殺戮一家」の3人が刑務官の隙をついて刑務所から脱走し、メキシコへと逃亡して逃亡先でも新たなトラブルを繰り広げる…』みたいな感じの展開。


 序盤はいつもどおりの『サスペンス風味のスラッシャーホラー』みたいなノリなのですが、中盤のメキシコへと向かってからはバイオレンスアクション…というか、悪趣味系のマカロニウエスタンみたいなノリになっています。


 まあ、タイトルからし「スリー・フロム・ヘル(地獄から来た三人衆)という、マカロニウエスタンを意識したみたいなタイトルが付いているので、そういう方向性を狙って作られたのだとは思いますが、今までのシリーズのファンとしては今までと方向性が変わってしまって、なんか『拍子抜け』というのが正直なところ。


 今回は、バイオレンスアクションの方向性に舵を切るために、主人公たち3人のキャラがかなりシッカリと掘り下げられているのですが、今までのシリーズでスラッシャーホラーで人間性の感じられない『冷酷な殺人鬼』をやっていた面々なのに、本作ではあまりに喋り過ぎるせいで『人間味が強くなりすぎてしまい、怖くなくなってしまっている』のは弊害と言えるかも?


 肝心の中身の方は、前半の『サスペンスホラー』部分後半の『バイオレンスアクション』部分もそこそこ良く出来ており、どちらの残虐ファイトっぷりも悪くは無い感じではあるのですが、ややどっち付かずになってしまった印象があるんですよね。


 特に、主人公たちがメキシコに到着した中盤あたりの展開が少しダルくて、尺も全体的に長めになってしまっているせいで、どうにも冗長さを感じてしまうのは残念なところ。


 ここまでマカロニウエスタン的なノリを推すのであれば、前半の脱走部分はもっと簡潔に短くまとめてしまっても良かったかも?


 ダニー・トレホがチョイ役…と思わせて割と重要な役で出てたりと、ネタの仕込みなんかは悪くない部分も多いんですけどね…

 


 総評としましては、ややテンポの悪さが気になる『ウエスタン風味のバイオレンスアクション映画』って感じの一本ですね。


 純粋にバイオレンス映画として観るならそこまで悪くは無いのですが、「マーダー・ライド・ショー」シリーズの新作として観ようとすると、ちょっと肩透かしを食らってしまうような内容かも?


 まあ出来が悪い作品ではないので、ロブ・ゾンビ監督のファンで気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。