■■■「ナイトシューターズ 処刑遊戯」■■■
(55点/サスペンス)
映画監督のマーシャルは、超低予算ゾンビ映画の撮影のために解体予定の廃ビルでクルーたちと共にゲリラ撮影を行う事となる。
しかし撮影の準備の最中に、たまたま同じビルの隣の棟で行われていたギャングたちが仲間を処刑する粛清の現場を目撃。
慌ててビルから逃げ出そうとするも、現場を目撃されたと気付いたギャングたちは出口を封鎖。
彼らの口封じをしようと、ビル内にヒットチームを送り込んでくる。
閉じ込められたスタッフたちは、格闘のエキスパートのスタントマンや爆発物のエキスパートの特効担当といったそれぞれの特技を活かしてなんとかしてギャングを撃退し、その襲撃から生き延びてビルから脱出しようとするが…
廃ビルでゾンビ映画のゲリラ撮影を行っていたスタッフたちが偶然にもギャングの処刑の現場を目撃し、自分たちもギャングに命を狙われることとなる…という、バイオレンスアクション要素強めのサスペンススリラー映画。
「コリン LOVE OF THE DEAD」の監督の新作という事ですが、前作と同様にこの監督さんは『毛色の変わったゾンビ映画』を撮るのが好きな監督さんのようです。
(まあ、本作は厳密にはゾンビ映画では無いですけど…)
お話としては『廃ビルにゾンビ映画のゲリラ撮影に訪れたB級映画のスタッフたちが、偶然にもギャングたちの処刑の現場を目撃。自分たちもギャングに命を狙われる事となってしまい、なんとかして脱出を図るが…』みたいな感じの展開。
冒頭に『主人公たちが撮影しているゾンビ映画』の映像があるのですが、この映像が『物凄い低予算のZ級ゾンビ映画』感を絶妙にかもし出しており、スタッフたちの『やる気の無さげな低予算現場の出来損ないメンバー』という印象をビンビンと感じさせてくれるのがなかなか良い味を出しています。
そんな出来損ないのスタッフたちが『各々の特技を活かしてギャングを撃退しようとする』というプロットはなかなか面白くて、音響スタッフが敵の行動を探りつつ、格闘のプロのスタントマンやら、爆発物のプロの特効スタッフがギャングを撃退していくというような展開はカタルシスがあって良い感じ。
アクションシーンなんかも予想以上に気合が入っており、アクション映画としても思ったよりも見ごたえがあります。
お話のテンポも非常に良いですし、バイオレンスアクション映画としてみる分には普通に楽しめる内容になっている印象ですね。
ただ設定からして、なんとなく『コメディ要素が強めな感じなのかな?』と思いきや、設定の緩さの割にはむしろ『バイオレンス要素』がかなり強めで、結構グロいシーンがあったりするのは好みが分かれる部分になりそう?
ギャング側も映画スタッフ側も割と容赦がなくて、全体的にバイオレンスなシーンが意外と沢山描かれたりします。
というかギャング側よりも、むしろ映画スタッフ側が容赦のない攻撃を行うシーンが多くて、観ていてギャングたちがちょっと可哀そうになってくるのはいかがなものかと? (まあギャングたちが全体的に、ちょっとヘッポコな感じのせいあるんだけど…)
あと、映画スタッフたちが『それぞれの特技を活かしてギャングの襲撃を撃退する』という設定ではありながらも、『格闘が得意なスタントマン』と『爆破が得意な特効スタッフ』以外はほとんど役に立っておらず、戦いがほぼパワープレイのような感じになってしまっているのも残念なところ。
もっと、『映画の小道具を使って創意工夫でピンチを乗り切る』みたいな展開があっても良かった気がしますよ。
ラストのオチもちょっと唐突で中途半端な印象ですし、せっかく面白い設定の作品なんだから全体的にもうひと捻りあっても良かったんじゃないかなぁ…
総評としましては、割と良く出来た『そこそこ楽しめるレベルのバイオレンスアクション映画』って感じの作品ですね。
『出来損ないのB級映画クルーたちがギャング相手に大立ち回りを繰り広げる』という設定に興味があるようであれば、とりあえずは観ておいても損はない一本かも?
ただ、『映画スタッフ要素』は薄めですし『ゾンビ映画要素』は冒頭以外は皆無なので、そういう部分に期待していると肩透かしを食らわされるかもしれませんので要注意という感じでしょうか…