NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フォーエバー・パージ」(60点/サスペンス)

■■■「フォーエバー・パージ」■■■
(60点/サスペンス)


 1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化されるという「パージ」が施行される近未来のアメリカ。


 しかし、とあるパージの夜に人種差別主義者の過激派組織が暴走し、『永遠のパージ(フォーエバーパージ)』を旗印に、夜が明けてからも虐殺を続けて国内の外国人の皆殺しを開始する。


 これに対抗する移民たちとの間で各地で抗争が勃発し、アメリカはたちまち内紛状態に突入してしまう。


 テキサスの牧場で働くメキシコ移民であるアデラとフアンの夫妻は、この紛争から逃れるために雇い主であるタッカー一家と共にメキシコへと脱出すべく国境を目指して逃亡を開始するが、過激派の一団に遭遇してしまい…

 


 1年に一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法化されるという「パージ」の夜を描いた、「パージ」シリーズの最新作。


 映画やドラマシリーズを含めて随分と沢山作られた本シリーズですが、映画は前作辺りで完結したような気がしていたのですが、まだ新作が作られていたようです。


 ただ、本作は『パージ法の崩壊』を描いた内容なので、いよいよシリーズとしては完結と言う感じでしょうか?(まあ、過去の別エピソードを描けば、いくらでも新作は作れそうな気もしますが…)


 お話としては、今回は『「パージの夜」が終わっても人々が殺戮や破壊といった暴走を止めなかったらどうなるの?』って感じのテーマを描いた内容で、「パージの夜」を切っ掛けに『分断された民衆』たちが抗争を続けて、最終的にアメリカ全土を巻き込んだ内紛に発展していくというような展開。


 社会の分断が進むアメリカの現状を考えると、実際に「パージ」法が施行されたらこういう事態が発生してもおかしく無いため、妙にリアリティの感じられるお話となっています。


 ただ現実味があるからといって映画のアイデアとして面白いかと言われると、そこは微妙なところ。


 本作では、「パージ」の根本的なテーマである『一晩だけ全ての犯罪が許されたらどうする?』という、シリーズの最大の個性であるIFの要素が無くなってしまっており、単なる『内紛地帯から安全な場所へと一家が脱出を目指す話』になってしまっているんですよね。


 『時間限定』で復讐を果たしたり、なりあがろうと一攫千金を画策したりする泥臭い人間模様的な部分が無くなってしまっているので、サスペンスドラマとしての面白味が薄くなってしまっているのは残念なところ。


 また『パージに便乗して変態的な犯罪や殺戮を行おうとする犯罪者』といった個性的なキャラとかも登場しないため、シリーズとしてはちょっと物足りなさがあります。


 ただシリーズとしては物足りないものの、ブラムハウスが作っているだけあってバイオレンスアクション映画としては普通に良く出来ているのは良い感じ。


 内紛や銃撃戦といったアクションシーンは割と迫力がありますし、悪役として登場する差別主義者の過激派組織の連中もなかなか良い味を出しています。


 ラストの『西部劇』をイメージしたかのような銃撃戦も、アメリカの開拓時代っぽくて色々と含みがある感じで面白いです。


 ただ、『主人公夫妻と差別主義者の雇い主』のエピソードは妙にアッサリした感じだったので、もうちょっと掘り下げがあっても良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、まあまあ良く出来た『普通に楽しめるレベルのバイオレンスアクション映画』って感じの作品ですね。


 「パージ」シリーズとして観るとやや物足りない部分もありますが、とりあえずのシリーズの節目という意味ではこういうのもアリかな?


 シリーズの個性の部分が弱いため強く推すにはやや弱いですが、シリーズを好きな人とか、設定が気になるような人であればチェックしておいても良い一本だと思いますよ。