■■■「デイ・アフター・トゥモロー・ウォー」■■■
(35点/サスペンス)
近未来、大規模な戦争とパンデミックにより文明社会は崩壊。
超越的な存在『ジ・アイ』によって世界は支配されていた。
『ジ・アイ』を崇拝する『グレイトレディ』によって巨大な壁によって囲まれた全体主義国家が作られ裕福層の実が暮らし、『価値なき人々』を見做された人間たちは、かつてのラテンアメリカに隔離されて徹底した監視の元に置かれていた。
レジスタンスに所属する若い女性のアルバは、壁の外から食料や医療物資を運ぶ仕事をしていたが、レジスタンスたちは国家による大規模な攻撃が行われる事を察知。
叔母のルクレは通行証を手に入れてアルバを不法出国させようとするが、アルバは仲間を見捨てられないと拒否してしまう。
そんな矢先にアルバの恋人のアブデルは、『ジ・アイ』の重要な秘密が隠された、国家を転覆させる情報が記録されているという腕輪を手に入れるが…
戦争と疫病によってディストピアと化した近未来のラテンアメリカを舞台とした、独裁国家とレジスタンスの戦いを描いた、SF風味のサスペンス映画。
『ウォー』とかってタイトルに付いてる割には全然戦争とかしなくて、政府によって追い詰められたレジスタンスの日常みたいなのがダラダラと描かれている感じの内容のお話です。
監視社会を題材としているだけあって、全体的に閉塞感は強く、スラム的な場所に追い詰められた貧民層の人間の困窮した様子やら、絶望的な雰囲気やらは良く描けている印象。
ただ、映画の内容が本当に『それだけ』になってしまっているのは困りもの。
メインのお話は、主人公であるレジスタンスの女性を周りの人々が『なんとかして街から脱出させようとする』みたいな話が延々と描かれるのですが、殆どがレジスタンス同士の会話劇に徹していて、とにかく盛り上がりません。
そもそもお話のメインっぽい、超越的な存在である『ジ・アイ』が何者かも分からない(パッケージに書かれているような『謎の機械』みたいなのは登場しない)ですし、『グレイトレディ』がどんな圧政を強いているのかも良く分からない(一応、秘密警察みたいなのは出てくる)ので、視聴者的には登場人物たちが頑張って『主人公を脱出させなくてはならない』としている危機感が殆ど伝わって来ないんですよね。
また、主人公の恋人が『ジ・アイを倒すための重要な情報を手に入れた』みたいな設定があるものの、そもそも『ジ・アイ』が何者かも良く分からないので『なんのこっちゃ』というのが正直な印象。
ラストも主人公の恋人が手に入れて命がけで守った『重要な情報』が何なのかサッパリ分からないままに投げっ放しで終わってしまいますし、最後まで何が言いたいのか良く分からないお話でしたよ…
総評としましては、なんだか良く分からない『微妙な出来のディストピアSFものサスペンス映画』って感じですね。
ディストピアで圧政を受ける貧民層の雰囲気は伝わるので『雰囲気映画』としては悪くないのですが、それ以外にあまりにも見どころが乏しくて退屈なので、正直なところオススメは出来ない作品という印象。
よほどディストピアSFが大好きで、『こういった系列の作品はとにかくチェックしておきたい』というのでも無ければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本だと思いますよ。