■■■「LOST MEMORY B7」■■■
(65点/サスペンス)
ある日、地下鉄の線路で目を覚まし自分が記憶を失っている事に気付いたサムは、警察に拘束されそうになった事からとっさに逃亡する。
混乱する彼は、手がかりを求めて自分のポケットに入っていた名刺のレストランへと訪れるが、そのレストランのトイレで以前の自分が残したと思われる奇妙なメモを発見。
そのメモを読み進めるうちに、彼は自分が『コーポレーションX』という更生施設にまつわる、恐るべき陰謀へと巻き込まれている事を知るが…
記憶を失って目を覚ました一人の青年が、かつて自分が巻き込まれた恐るべき陰謀を知る事になるという、SF風味のサスペンススリラー映画。
なんでも「BOY7」というSF小説が原作となったサスペンス映画のようで、たまたまTSUTAYAで見かけてレンタルしたのですが、そこまでドマイナーな作品とも思えないのにネットでタイトルを検索してもあんまりどこにも情報が載ってないという、ちょっと謎な感じの映画です。
『記憶喪失の青年が主人公』という事で、最初は「メメント」的なシチュエーションスリラー的なノリの作品かと思いきや、そこまで捻った内容ではなくて意外とオーソドックスな構成の謎解きものという印象。
まあでも、過去に自分が残したメモを読み進める毎に少しづつ謎が解き明かされていくという展開は、なかなか約束ながらも面白いです。
お話としては、SFというかディストピアもの的なテイストの内容で、『青年が軽犯罪を犯して入れられた更生施設が実は…』という感じの展開。
あまり細かく書くとネタバレになってしまうので控えますが、『主人公がなぜ記憶喪失になったか』という理由や、いかにして『更生施設に隠された秘密』に迫っていくかというプロセスが非常に丁寧に伏線を張って描かれており。ストーリーにグイグイ引きこまれる感じの構成なのは良いですね。
主人公とヒロインのキャラも良く立っていて魅力的ですし、お話の構成も謎解きが中心の前半とスピーディな後半とに分かれた展開という感じでなかなか良く出来ていて普通に面白いです。
ただ『記憶喪失の主人公』と『謎のメモ』というトリッキーそうな設定の割に、実際の中身の方は意外と直球ストレートなSFサスペンスという感じの内容なんですよね。
変化球を期待して身構えてたら予想外の玉が飛んできた感じで、ちょっと肩透かしを食らわされたような感覚を受けてしまいましたよ。
また後半の流れがちょっと急展開すぎて、ちょっとだけブツ切りにしたような印象があったのは少し残念なところかも?
前半の謎解きパートの盛り上がりに対して、後半~オチの流れがちょっとアッサリしすぎで物足りない感じだったので、何かもうひと捻りぐらいあっても良かったかなぁ?
総評としましては、傑作とは言わないまでも『普通に良く出来たSFサスペンス映画』って感じですね。
近未来ものののディストピア系SFサスペンスとかが好きな人であれば、ごく普通に楽しめる作品だと思います。
本作ならではという強烈な個性こそ無いものの、サスペンス映画としては普通に面白い内容でしたので、気になるならばチェックしておいて損は無い一本では無いでしょうか…