■■■「レプリカズ」■■■
(65点/サスペンス)
(65点/サスペンス)
人間の意識を脳から取り出し、それをAIを搭載したアンドロイドへ移植するというプロジェクトに従事。
その研究を今まさに完成させようとしていた。
そんな矢先、家族で旅行中に自分以外の家族の4人を交通事故で喪うという事件が発生。
ショックを受けた彼は周囲の反対を振り切り、家族の意識をデータ化してクローンの身体へと移植して家族を蘇らせようとする。
果たして彼のクローンへの意識の転送実験は完成し、事故の記憶を改ざんする事によって本人たちにすら気づかせずに家族たちを蘇らせることに成功するが…
人間の意識をアンドロイドへと移植する研究に従事する科学者が、事故で喪った家族を意識を移植したクローン人間としてよみがえらせようとする…という、キアヌ・リーヴス主演のSFサスペンス映画。
キアヌ・リーヴス主演の割にはそこまで大作という印象ではなく低予算でB級テイストの漂う内容ですが、中身の方は意外とシッカリと作られたアクション寄りのSFサスペンスという感じの作品ですね。
キアヌは割と昔からB級作品にも出演する人だという印象なのですが、本作は製作にも関わっているという事で、ちょっとビックリしました。
SFっぽいストーリーはキアヌの趣味なのかしらん?
お話としては、『事故で4人の家族を喪った神経科学者が、モラルに反する事を承知で家族の意識をクローンへと移植して一家を家族を蘇らせようとする』という感じのストーリー。
これがホラーなら間違いなくゾンビになって蘇ってくる(アンドロイドの場合は狂暴化する)というパターンですが、アクションSFなのでそういう展開はありません。(笑)
ノリとしては『人間の意識の移植を題材としたSFサスペンス』という感じの展開なのですが、主人公たちが実験を成功させるために色々と試行錯誤するという『謎解きプロセス』があったりして、割とキチンとSFっぽいテイストが感じられる内容になっているのは良いですね。
また、モラルハザードを前に家族愛を取るかモラルを取るかで悩む主人公の姿も、紋切り型で使い古されたネタという感はあるものの、割とシッカリと描かれていて好感触。
ややネタバレになってしまいますが、家族を無事によみがえらせるためには『家族の誰か一人を切り捨てる必要がある』という展開も、なかなか良いアクセントになっていると思います。
実験を成功させて家族を守るために、どんどんクレイジーな行動を取るようになっていくキアヌの演じる主人公も良い味を出していますし、また『クレイジーな行動なんだけどクレイジーすぎて感情移入を妨げるほどではない』というバランス感覚の良さは、ちょっと感心させられました。
ただ、モラルハザードを題材としたSFサスペンス部分は面白いのですが、終盤の政府機関が『実験成功のサンプル』として主人公と家族たちを拉致しようとするという展開に突入してからは、お話のテンポは良くなるものの妙に安っぽくなってしまうのは残念なところ。
まあ、ストーリーを盛り上げるために仕方ない部分ではあるのでしょうけど、この辺はもうちょっと上手く説得力のある形で描いて欲しかったかなぁ…
でも、終盤あたりまでは『まったく収拾が付かなくなりそうな展開』なのに、ラストで非常にキレイにオチをつけてるのは素直に上手いなと思いました。
あと、SFとしては色々とツッコミどころはある内容なのですが、一番ツッコミを入れたくなった部分は『なんで暴走する恐れのある実験用のアンドロイドに過剰な戦闘力を与えるのか』という事でしょうか…(この手の映画にありがちな設定ですけど…)
(それと記憶を移植された後のアンドロイドの顔が、被験者の顔とソックリになるという謎機能。(笑))
総評としましては、色々とツッコミどころはあるものの『普通に楽しめるレベルのSFサスペンス映画』という感じの作品です。
B級作品のため全体的にノリやら映像やらに安っぽさはあるものの、こういうジャンルのSFサスペンスが好きな人やキアヌのファンであれば、まあまあ楽しめる作品だと思います。
強く推すほどではないですがなかなか良く出来た作品ですので、気になっているのであればチェックしておいて損は無い一本だと思いますよ。