■■■「THE POOL ザ・プール」■■■
(60点/サスペンス)
(60点/サスペンス)
芸術家の写真撮影を補佐する美術スタッフのデイは、ある日、閉鎖される予定の廃墟の飛び込み用プールを使った写真撮影を行う事となる。
撮影の仕事を終えた彼はプールの掃除のために一人でプールに残っていたが、休憩中にプールにマットを浮かべて眠っていたところ、プールの水を抜かれてしまい水深6メートルの水の抜けたプールの底から出れなくなってしまう。
なんとかして助けを求めようとするが、様子を見に訪れた恋人のコイまでもがプールに転落して意識を失い、更には近隣の動物園から洪水の影響で逃げ出したワニまでもがプールへと侵入してきてしまい、彼はたった一人で水の無いプールの底で巨大なワニと対峙する事となる…
廃墟のプールに写真撮影に訪れた際に水の無いプールの底にワニと共に閉じ込められてしまった青年が、なんとかしてプールから脱出しようとするという、サスペンススリラー映画。
いわゆる閉鎖環境からの脱出を舞台としたシチュエーションスリラー系の作品で、やや食傷気味な設定ではあるものの、タイ製&ワニ付きという辺りが、プロット的にまあまあ目新しさを感じる部分かも?
お話としては、深さ6mの水の無いプールの底という脱出困難な環境に取り残された主人公たちが、何とかしてそこから脱出しようとするものの、次々と新たなアクシデントやトラブルが発生する事によって更にピンチに陥っていく…みたいな感じの展開。
この手のシチュエーションスリラーは、間がもたなくて冗長な感じになる事が多いのですが、『水の無いプールという変化の乏しいシチュエーションで、よくそんなに色んなアクシデントを起こせるな』と感心するレベルで次々と新たなトラブルに陥っていくため、意外と退屈することなく楽しませてくれます。
また主人公たちと対峙するワニに関しても、単純に『プールの底でワニと人間が戦う』ような安易な展開かと思いきや、このワニのキャラクターがむしろ『第三の登場人物』みたいな扱いで、予想外の主人公たちとの絡み方で色々と良い味を出しているのは好印象。
主人公と恋人のキャラクターもシッカリと描かれており、人間ドラマの部分も普通に観れるレベルに仕上がっていますし、思ったよりも冗長さを感じる部分が少ないのは良いですね。
ただ、主人公が様々なアクシデントから逆境に陥る事でお話を盛り上げるみたいな構成なのですが、様子を見に来た恋人はプールに転落するわ、近所の住人が近くに来た時は地下の排水管に潜っているわ…といった感じの、とにかくひたすら『間の悪い展開』の連発。
もう『間の悪い男、アジア選手権』があったらトップになれるんじゃないかというレベルの間の悪い展開の繰り返しで、あまりにワンパターンなせいで途中でちょっと飽きてしまいました。
というか、主人公たちの身の回りがあまりにも不運なアクシデント続きなせいで、ラスト付近ではもはや『不運ギャグ』のような状態になってしまっており、最後の方は不運で逆境に陥る場面になる度に思わず笑ってしまったのは自分だけ?
流石に、この辺はもうちょっと捻りがあっても良かったかな?
あとサスペンスではありがちな構成ですが、冒頭に『終盤のクライマックスシーンのカット』が少しだけ流れるような構成のため、『そのシーンまでは主人公が死にもしなければ助かりもしない』事が分かっているため、やや緊張感が削がれた感じがあったのは残念なところかな?
というか、本作に限らずサスペンスでこういう構成の作品って、先が読めるだけであまり良い事が無いと思うのは自分だけですかね?
(まあ、たまにミスリード的に上手く使っている作品もあるけど…)
総評としましては、月並みな設定ながらも『割とシッカリと作られた閉鎖環境脱出タイプのシチュエーションスリラー映画』って感じの作品ですね。
『プールの底にワニと一緒に閉じ込められる』というシチュエーションやら、タイ製のシチュエーションスリラーという独特のテイストやらが気になるようであれば、チェックしてみても良いかもしれません。
あと、終盤は主人公のあまりの間の悪さに逆にツッコミどころ満載な感じのノリになりますので、ツッコミ系のネタ映画を求めているのであれば別の意味で楽しめる内容かもしれませんよ。(笑)