■■■「プール」■■■
(55点/サスペンス)
ある日、市民プールに泳ぎに訪れる事となったブリーとジョナの姉妹。
姉のブリーは結婚を間近に控えて幸せに満ち溢れているのに対して、妹のジョナは過去のトラウマを克服できずに薬物中毒となり保護観察中の身で、コンプレックスを抱えていた。
やがてプールは閉館時間となり彼女らも帰ろうとするが、ブリーの大切な婚約指輪がいつの間にかプールの底に沈んでいる事に気づく。
彼女たちはプールに潜って指輪を拾おうとするが、その際にプールから全員が返ったと勘違いした館長が、改めにプールの電動式の蓋を閉めてしまうという事故が発生。
プールの中に閉じ込められてしまった彼女たちは、なんとかして助けを呼ぼうをとするが…
事故によってプールの蓋の内側に閉じ込められてしまった姉妹が、なんとかして危機を脱出しようとする…というサスペンススリラー映画。
日常生活で起こりうる恐怖を題材としたシチュエーションスリラーですが、なんというか一発ネタ的なアイデア映画って感じの作品ですね。
ただ、アイデア映画の割には意外とシッカリと作られた作品という印象です。
『プールの中に蓋で閉じ込められる』というと、一見『息が出来なくてヤバそう』みたいな印象を受けますが、実際には蓋の下には余裕で顔が出る程度のスペースがありますし、浅い部分では足が付く程度の水深なので、差し迫った危機も『低体温症』といった程度。
正直、そのままのシチュエーションでは緊迫感が無さ過ぎるため、実は姉が糖尿病で一定時間内にインスリン注射が必要だったり、姉妹の過去にちょっとした秘密があって確執があったりといった感じで、お話を盛り上げるために色々と工夫がなされているのが感じられます。
また、ちょっとネタバレになってしまいますが、途中で登場する救世主かと思われた『掃除のオバサン』が実は…といった展開も、なかなか捻りが効いてて面白いですね。
ただ工夫がされているのは認めるものの、どんなに頑張ってもやはり主人公たちが『プールの蓋の下』に居る以上、お話の広がりにどうやっても限度があるのは辛いところ。
どんなに劇的なドラマを作ろうと努力しても、基本的には殆どが会話劇にしかならないので、どうしても盛り上がりに欠けます。
色々とネタを詰めこんでいるおかげでそこまで冗長という感じでは無いものの、お話の中盤辺りからはやはりちょっと飽きてきて退屈に感じてしまいましたよ。
また結構イライラさせられるシーンが多めなので、その辺も人によっては好みの分かれるところかなぁ?
(それなりにカタルシスが感じられるシーンも多いので、そこまでストレスって程でも無いけど…)
作品のテーマ性が明快でオチもスッキリしており、シチュエーションスリラーにしては非常に分かりやすい作品になっているのは、個人的にはなかなか好みな感じでしたよ。
あと割とどうでもいい事なのですが、プールの館長を「SAW」シリーズのジグソウキラーの人がやってるので『この人は実は殺人鬼とかとんでもない秘密があるのでは?』とか意味も無く勘ぐってしまったのは自分だけですかね?
(ちなみに全然そんな事は無かったです。(笑))
総評としましては、色々と頑張って作られた印象を受ける『そこそこ観れるレベルのシチュエーションスリラー映画』って感じの作品です。
退屈そうなシチュエーションをなんとか退屈しないようにしようという努力は感じられますし、実際にそこまで退屈な内容になっていないのは良い感じだったかなぁ?
こういう変わり種系のシチュエーションスリラーが好きな人であれば、まあまあ楽しめる作品ではあると思いますので、気になるようであればチェックしてみるのも良いかもしれませんよ。