NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドント・ウォーリー・ダーリン」(40点/サスペンス)

■■■「ドント・ウォーリー・ダーリン」■■■
(40点/サスペンス)


 砂漠の中に『ビクトリー計画』によって作られた都市に夫のジャックと共に暮らすアリスは、素晴らしい夫と明るい隣人たちに囲まれて、なに不自由のない幸せな生活を送っていた。


 そんなある日、買い物帰りに砂漠へと飛行機が墜落するのを目撃した彼女は、飛行機のパイロットを救おうと立ち入り禁止とされている砂漠の『危険区域』へと足を踏み入れるが、そこで奇妙な建物を発見。
 建物の壁に触れた瞬間に意識を失った彼女は、自宅のベッドのうえで目を覚ます。


 彼女は自分の体験した現象を周囲の人間に話すが、誰からも取り合って貰えず、更には奇妙な幻覚に悩まされるようになっていき、周囲から頭がおかしくなってしまったのではないかと疑われるようになっていく…。


 そんな矢先に彼女は、『以前に砂漠の立ち入り禁止区域に立ち入って子供を亡くしたうえに狂気に陥った』と噂される近所の住人であるマーガレットから『あなたも見たでしょ?』という奇妙なメッセージを受け取るが…

 


 『なに不自由のない幸せな世界』で暮らす女性が、とある体験を切っ掛けにその世界に隠された真実に疑問を抱くようになる…という、SFサスペンス映画。


 少し勘のいい人であれば設定とかを聞いただけでなんとなく想像が付くとは思いますが、いわゆる『作られた虚構の世界』を題材としたディストピア系のSFサスペンスですね。


 『なに不自由のないユートピアだと思って過ごしていた世界が、実は恐るべき秘密の隠された世界でした』って感じのプロットは、この手のディストピアSFとしては割とあちがちな印象。


 ゲームのFalloutシリーズを思い起こさせるような、レトロSFっぽい70年代アメリカ的テイストはなかなか良く出来ており、いかにも『虚構の幸せな世界』をイメージさせるような不気味さがあって悪くありません。


 お話の謎の提示やらいかにも洗脳を印象づけるような演出やら、不穏な空気の漂う展開もまあまあ悪くない印象。


 ただ、プロットやら雰囲気映画的な世界観やらは悪くないのですが、それ以外の部分がどうにもイマひとつな感じのは困りもの。


 まず尺が2時間強あるせいで、お話の展開が遅くてストーリーが動き出すまでがどうにもテンポが悪いんですよね。


 それに加えて、お話が動き出した後も特に主人公が窮地に陥るわけでも無くて淡々とストーリーが進んでいくみたいな展開が続く感じなので、緊張感のようなものが皆無で全体的に非常に冗長な印象を受けます。


 ここからはネタバレになってしまいますが、お話の中心となる『ビクトリー計画』の秘密も物凄くスケールが小さくてショボいですし、真相が判明した後も『衝撃の事実』というよりも『なんじゃそりゃ?』という感想しか出てこないのも困りもの。


 一応、ジェンダー問題とか男尊女卑的な問題とかをテーマにしている雰囲気はあるのですが、テーマとしての描き込みも浅いですし、オチも投げっぱなしでどうにもスッキリしません。


 あと、最初に主人公が秘密に近づくことになる『砂漠に墜落する飛行機』も何の意味があったのか謎(何かの象徴?)ですし、そもそもディストピア世界の根幹の秘密を知る事の出来る場所』を、ロクな警備もなくて誰でも簡単に歩いて入れるような状態で放置しておくなよ…とか、色々とツッコミどころ満載の映画でしたよ。

 


 総評としましては、『どうにも微妙で退屈な出来のディストピアSF映画』という感じの作品ですね。


 作品の雰囲気やら美術デザインやらは嫌いじゃないですが、内容に関してはグテグテなうえに退屈すぎるので、ちょっとオススメはし辛い作品というのが正直なところかなぁ?


 とりあえず、この手の世界観の作品が大好きでよほど気になっているというので無ければ、普通にスルーしてしまっても問題のない一本かもしれませんよ。