■■■「バトルロワイアル・アイランド」■■■
(50点/サバイバルホラー)
近未来、過激なエンターテイメントを求める視聴者の為にとあるTV番組が企画される。
そのタイトルは「サバイバル・アイランド2020」と言い、「ロメロ島」という無人島に終身刑や死刑を宣告された囚人たちを集め、5000万ドルの賞金と釈放を商品として3日間の『生死を賭けた生き残りバトル』を行わせ、その模様を中継するという物であった。
今週も、殆ど何の説明も受けずに集められた10人の囚人たちは、5組のチームに分けられて3日間の生き残りをかけたゲームへと参加させられる。
彼らは生き残るために必要な『武器』や『食料』の所在場所を書かれた地図を渡されて「ロメロ島」へと放たれるが、生き残りをかけた戦いを繰り広げていくうちに、その島にまつわる恐るべき秘密を知る事となっていくのだった…
近未来のTVショーで行われる殺人ゲームを題材とした、サバイバルアクション風のホラー映画。
タイトルやパッケージを観ると、一見「バトルロワイアル」みたいな感じの『殺人ゲームを題材としたホラーなのかな?』と思うのですが、その実態は…
いきなりネタバレになってしまいますが、コレを書かないとマトモに感想が書けないので言ってしまいますが、なんと閉鎖環境を舞台とした『ゾンビ映画』です。
まあ、この事がそこまで厳密に秘密にされてる訳でも無く、だいたい映画の製作会社が「ZOMBIE APOCALYPSE PRODUCTION」とかって名前だし島の名前も「ロメロ島」とかなので、ちょっと考えればゾンビが出てくるのは容易に想像がついたりするのですが、私は最初は何の疑いも無く『殺人ゲーム』の映画だと思ってた観てたので素でビックリしましたよ…
お話の方も単なるイロモノ映画かと思いきや、B級でチープさは漂う内容ながらも『なかなかどうして、意外と面白いんじゃない?』と思えてしまうぐらいの完成度の作品です。
本作は『近未来の架空のTVショー』で、映画を観ている人間は『TVショーを観ている視聴者』という設定のため、本編の途中でバラエティ風のテロップが入ったり、1日の終わりに『現在のトップ』や『本日のダイジェスト』というTVショーっぽいインターミッションが流れたりするというバカバカしい演出が各所に入って、なかなかに笑わせてくれますし…
ストーリーの方も、賞金に目がくらんだ犯罪者どうしが仲間割れで相手を出し抜こうとしたり、この人が主人公かな?と思ってた人間があっさりと死んでしまったり…といった感じで、まるでホントにTVショーであるかのような先の読めない展開の連続で楽しませてくれます。
また、本作のゾンビは『肉体改造の人体実験に失敗した元兵士』という設定のせいか、やたらと機敏で「ドーン・オブ・ザ・デッド」並に元気いっぱいで、派手なアクションや格闘シーンで主人公達と立ち回りを演じたりと意外と見所があるのも良い所。
個人的に一番笑えたのは、映画の最後のスタッフロールの最中に、ご丁寧にも番組の『次週予告』のダイジェスト映像とかまで入ってる事。
ここまで徹底したバカ演出が入ってるとは思わなかったので、なかなかに笑わせてもらいました。
でも、『次週予告』で出てる参加者の中に『お前、さっきゾンビ役の一人になって主人公達を襲ってただろう!!』って人が混ざってたりしてツッコミどころ満載なのは、低予算ゆえのご愛嬌といった所でしょうか?
ただ、TVショーを題材とした構成やアイデアは面白いと思うのですが、ネタ的にいま一歩『ハチ切れきっていない』と感じられる部分が多いのは惜しい所。
個人的な趣味で言わせて貰うと、もっともっとブラックかつ、もっともっと悪趣味でハチ切れた酷い内容でも良かったかな?
総評としましては、正直言って映像や出演者もショボくて全体的にチープさを拭えない映画ながらも、そのチープささえ我慢出来れば結構楽しめる映画だと思います。
『殺人ゲーム』のTVショーとかってブラックで馬鹿なネタにピンと来る人で、そういうネタが自分の趣味に合いそうだと感じたら、観ておいても良いレベルの映画でしょう。
個人的には、予想を大きく裏切られた内容の映画ながらも、それは良い意味で『予想以上に楽しめた作品』でしたよ。