■■■「ラスト・アナコンダ」■■■
(25点/アドベンチャー)
刑務所から逃亡した脱獄囚たちを追うウット警部は、逮捕した囚人の一人から仲間たちがパヤーメットジャングルを超えてミャンマーに抜けようとしているという計画を知る。
そのジャングルは、恐るべき怪物が潜む魔境と言われており、かつて彼の父である現在は僧院に勤めるカムコンが、ジャングルの奥地に潜むという謎の部族から『秘宝の石版』を盗み出してきたという曰く付きの場所であった。
脱獄犯の一人でウットと旧くからの腐れ縁の仲でもあるナーソーは、逃走中にウットの父親を殺害、その『秘宝の石版』を奪ってジャングルへと逃げ込んでしまう。
ウットはナーソーを追って秘境へと足を踏み入れる事になるが、その場所には想像を超える恐るべき脅威が待ち構えていたのだった…
最近、モンスター映画やらホラー映画やらのジャンルで頭角を現しつつある、タイ製のモンスターもの風味の冒険映画。
パッケージやタイトルだけ見ると、いかにも大蛇が主役のモンスター映画風ですが、実際には本編の方は大蛇は殆ど登場しません。
代わりに主人公達がジャングルの捜索中に殺人バチやら、肉食トカゲやら、妖魔やら、吸血鬼みたいな連中に遭遇するという、どっちかというと『冒険映画』的なテイストの濃い作品ですね。
『色んなモンスターが大量に登場する』というと、さも楽しそうな作品に聞こえますが、実際お話の方はというと、何とも『うーん…?』と言った感じの内容。
モンスター映画にしては割とストーリーが凝っており、主人公と脱獄犯に過去に確執があったりして、ジャングルに入るまでの展開は意外と面白かったりするのですが、逆にジャングルに入ってからの展開がどうにもパッとしません。
確かにモンスターがイロイロと登場するものの、各シーンがどうにも散発的で盛り上がる前に次のシーン、次のシーンと進んでしまうような感じで、とにかく各シーンの印象が薄い。
パッケージに描かれている大蛇も、出てきたと思ったら『えっ、もう出番終わり?』みたいな感じで、イロイロと詰め込みすぎたせいで逆に印象が薄くなっている感じ…
ストーリーも中盤まではそれなりに面白いのですが、終盤の超展開は本気で意味が分かりませんよ…
ジャングルの中に住む村人が実は『バンパイアみたいな怪物』でした…ってのは理解できるのですが、『主人公とバンパイアのお姉ちゃんはいつの間にそんなに仲良くなってたの?』とか、『秘宝の石版』に凄い力があるとかって話だったのに、ラストまで全く役に立たないままで、『結局『秘宝の石版』って何だったの?』とか…
ラストシーンの何の解決もしてない投げっぱなしっぷりも凄いですし、結局この監督はこの映画でいったい何を描きたかったのかと…
何にせよ、もう少しテーマを絞り込んで作品を作った方が良かったんじゃないかなぁ?
特撮のレベルとかアクションシーンの完成度とかは、B級モンスター映画としてはなかなか頑張っている方だと思うので、ストーリーがホントに訳ワカメなのが勿体無い作品ですね。
総評としましては、部分ごとに見ると『それほど悪く無いかも?』って感じなんだけど、全体を通して観ると『何じゃコリャ?』って感じになってしまうという、何とも不思議な映画。
映画としての要素をイロイロと詰め込むのも良いけど、シンプルにまとめるという事も重要なんだなぁ…と思いました。
何と言いますか『特撮とか雰囲気とかだけ楽しみたいのであれば、まあ悪くは無いんじゃ無いかなぁ…』って感じの作品でしたよ。