■■■「サマー・インフェルノ」■■■
(55点/サスペンス)
ある日、ウィルらの4人の教師は、子供たちを迎え入れるサマーキャンプの会場の準備のために、スペインの森の奥にある屋敷へと訪れる。
しかしキャンプの準備を終えた前日の夜に、仲間の一人のアントニオが唐突に狂暴化して他のメンバーに襲い掛かると言う事件が発生。
彼らは身を守るためにアントニオを殺害してしまうが、その直後に今度はミシェルが狂暴化して他の仲間を襲いはじめる。
狂暴化したミシェルから身を隠して家の中に立てこもるうちにミシェルが正気に戻った事に気付いた彼らは、彼女の話を聞いて狂暴化している間の記憶が無い事を知り、キャンプ場の付近に人間を一時的に狂暴化させる『感染源』のようなものがあるのではないかと考えて調査を始めるが…
唐突に人間を狂暴化させる謎の『感染症』によって引き起こされるパニックを描いたサスペンスホラー映画。
いわゆるゾンビもの映画とかにありがちな『謎の感染症によって人間が唐突に狂暴化する』ってタイプの作品ですね。
設定自体は既に使い古されたネタという感がありますが、本作独自の『感染した人間が一定時間で元に戻る』ってのと『次に誰が狂暴化するか全く分からない』って設定はなかなか捻りが効いてて面白いと思います。
お話としては、『サマーキャンプの準備に森の中の屋敷に訪れた教師たちが次々と狂暴化して他のメンバーに襲い掛かるんだけど、果たしてその原因とは…』みたいな感じの内容なのですが、次に誰が狂暴化するか分からないししばらくすると普通に戻るので殺すわけにもいかず、という感じで明確な対応策が無くて常に緊張感があるのは面白いですね。
狂暴化の原因の謎解きなんかもストーリー同様にひと捻りある展開だったりと、本作ならではの個性を出そうという努力が見られるのは良い感じ。
バイオレンス描写とかはそこまで激しくないものの、ピンポイントで凄い痛そうな描写があったりとか割とツボは押さえてある感じ。
ただアイデアやプロットは面白いのですが…肝心の映画の中身の方は『頭のおかしくなったメンバーとそれ以外のメンバー』がひたすら追いかけっこをしてるだけみたいな感じで、普通のモンスター映画とあんまり変わりがなくちょっと新味が感じられないのは残念なところ。
ひたすら追いかけっこをしてるので確かにテンポは非常に良くて観てて退屈しないのですが、せっかく『誰がいつ狂暴化するか分からない』という秀逸な設定があるんだから、閉鎖環境を舞台にしたサスペンス的な要素とかがあっても良かった気もします。
謎解きとかラストのオチなんかもなかなかパンチが効いてて良い感じでしたし、全体的に『もう一歩ネタを上手く昇華しきれてれば良かったのに』と思う部分の多い、少しもったいない印象を受ける作品でしたよ。
総評としましては、ちょっと個性的な設定で割と良くできたサスペンスホラー映画って感じの作品です。
前述の通りやや物足りない部分はあるものの、それを抜きにしてもそこそこ楽しめる内容のサスペンスではあると思うので、まあ気になっているのであればチェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。
スペイン(欧州)製のホラーだけあって、ちょっとブラックだったりクセのある部分もありますので、その辺は『お好みで…』って感じでしょうか?