NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スプリット」(55点/サスペンス)

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■■■「スプリット」■■■
(55点/サスペンス)

 ケイシー、クレア、マルシアらの3人の女子高生は、ある日、突然に神経質そうな見知らぬ男性によって拉致され、地下倉庫のような場所に監禁されてしまう。

 彼女たちがなんとか脱出できないかと画策していたところ、ドアの外で会話の声が聞こえてドアの隙間から女性の姿を観た事から、女性に助けを求めたところ、女装した先ほどの男がドアを開けて現れる。

 その男は、実は女性やら少年やらの23もの人格が存在するという、解離性同一性障害(多重人格)で、タイミングごとに入れ替わる彼らとの会話から、自分たちが『ビースト(野獣)』と呼ばれる24番目の人格の生贄にされるためにさらわれたと気付いた彼女たちは、何とかして多様な人格を持つ彼らの隙を突いて脱出できないかと画策するが…



 多重人格を持つ謎の男性によって監禁された3人の少女が、なんとかして男の手を逃れて脱出しようと画策するという、サスペンススリラー映画。

 『変態的などんでん返し映画』でお馴染みのM・ナイト・シャマラン監督の新作にあたる作品ですが…
 久々のどんでん返し系の良作だった「ヴィジット」に対して、今回はそこまでどんでん返し的な要素のないものの、ちょっと変化球風味のサスペンスとなっています。

 お話としては、『多重人格の不気味な男に監禁された女子高生の3人が、なんとかして男を出し抜いて脱出できないかと様々な人格と会話していくうちに、彼に未だに覚醒していない「ビースト」と呼ばれる怪物の人格が存在する事を知り…』みたいな感じの展開。

 監禁された少女たちが男の『人格たち』とやりとりする、会話劇が中心のシチュエーションスリラーがメインの要素という感じで、それに加えて、男の治療をする精神科医と男とのやり取り的なエピソードが加わって、世界観の補強やらメインの謎解きやらが進行していくといったストーリーですね。

 いま会話している男が『誰の人格なのか』という部分の駆け引き等がお話に上手く絡められており、謎解きにせよ駆け引きにせよ一筋縄では行かないノリになっているのは、なかなか捻りが効いていて面白いです。

 また男の人格たちの語る『残忍な怪物である「ビースト」は果たして実在するのか?』というのも謎解きの焦点となっており、この辺のケレン味の利かせ方がいかにもシャマラン監督という感じで良い味を出しています。

 ただ設定やら世界観の味付けやらは面白いのですが、純粋にサスペンスとして面白いかと言われると正直言って微妙なところ。

 基本的に会話劇が中心なので全体的にいま一つ盛り上がりに欠け、見せ場となるようなシーンも少な目です。
 また半分ぐらいがシチュエーションスリラーみたいなノリなので、場面転換や世界観の広がりにも乏しくて、全体的に小ぢんまりとした話になってしまっているのも残念なところでしょう。

 オチもちょっとパンチが弱い印象だったので、ラスト付近はもうちょっとハッチャケた展開があっても良かった気がしますよ。

 ただ、終盤で『シャマラン監督の別の某作品とテイストが似てるかも?』と思ってたら、ラストでそのものズバリの関連性を示唆するようなオチが付いてて、その辺はちょっとニヤりとさせられました。

 シャマラン監督の映画のファンなら、そういう部分も楽しめるので、ちょっとオススメできる要素と言えるかも?


 総評としましては、ケレン味が利いてて良い味を出しているものの『ちょっと盛り上がりに欠けるサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 強く推すほどではないですが、シャマラン監督のファンであればそこそこ楽しめる要素もありますので、チェックしておいても良いかも知れません。

 ただ『どんでん返しネタ』が大好きなシャマラン監督のケレン味やらテイストやらが存分に楽しみたいのであれば、最近の作品なら「ヴィジット」の方が良く出来ていると思うので、そっちの方がオススメかなぁ?